シリコンバレーを拠点とする移民弁護士のソフィー・オルコーンの事務所には、H-1Bビザ(高度な技能を持つ外国出身者に与えられるビザ)を保有するテック業界で働く人々からの問い合わせが急増した。
選挙キャンペーン中、トランプは、合法の移民には反対していないと述べていたが、彼の1期目の政権は、イスラム教徒が多数を占める国からの渡航を禁止するなどの制限を行った。テック業界の移民労働者たちが直面する不確定性要素の1つは、トランプの副大統領に選出されたJ.D.ヴァンスやイーロン・マスクのシリコンバレーとの繋がりが、彼らを反移民政策から保護するかどうかだ。
しかし、ボストンを拠点とする移民弁護士のエリザベス・ゴスによると、現状、人々の不安のレベルは、1期目のトランプ政権が誕生した直後ほどは高まっていないという。彼女のもとに問い合わせを寄せた人々の多くは、「クリスマスの休暇中に国を離れるのは、危険だと思うか?」といった、日常的な懸念を抱いているという。
ゴスは、このような質問に対し、「休暇中に旅行をするのは問題ないが、1月6日までには戻るように」とアドバイスしているという。
H1-Bビザの発給件数は、年間わずか6万5000件で、米国内の教育機関で修士号以上の学位を取得した外国人については、別途2万件の特別枠が設けられているものの、このビザの取得はごく一部の外国人に限られている。また、トランプの1期目には、このビザの発給が拒否される割合が劇的に増加し、2018年度の拒否率は24%に急増していた。
さらに、前回のトランプ政権下では、グリーンカードの取得プロセスも厳格化され、より多くの申請者が対面のインタビューを要求されていた。新政権には移民対策の強硬派であるスティーブン・ミラーの起用が決まっており、「彼が全員に面接を義務付けると言いだすこともあり得る」と弁護士のゴスは述べている。
一方、移民労働者を支援する企業、バウンドレス・イミグレーションでCEOを務めるシャオ・ワンは、「H-1Bプログラムは政治的なフットボールにされている。あちこちに蹴られ、脅威とされる一方で、イノベーションの源として称賛もされてきた」と述べている。