日本において“飲酒運転”は、道路交通法第65条第1項で「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と規定されています。
お酒に含まれるアルコールは、摂取すると運動機能の低下、理性・自制心の低下、動態視力・集中力・認知能力・状況判断力の低下等を生じさせ、その影響を受けた状態で車等を運転することは運転手や同乗者、周囲の歩行者等を死傷させうる危険な行為です。
そのため、飲酒状態での運転は重大な違反行為として厳しい取り締まりの対象となっています。
酒を使った食べ物にも注意
道路交通法で飲酒運転は「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の2種類に分類されていて、酒酔い運転は「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」である場合が該当。酒気帯び運転では、血中のアルコール濃度、またはそれに相当するとされる呼気中のアルコール濃度によって判断されます。呼気1リットル中、0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満のアルコール濃度であれば「酒気帯び運転(0.15以上0.25未満)」、呼気1リットル中、0.25ミリグラム以上のアルコール濃度であれば「酒気帯び運転(0.25以上)」です。
そのため、飲酒の有無にかかわらず、呼気から規定以上のアルコール分が検出された場合は酒気帯び運転となり、重い行政処分が課されることとなります。
原材料にウイスキーやブランデーが使われているチョコレートや、香り付けにラム酒を使ったケーキ、酒粕を使った甘酒、薬用酒などはお酒として販売されていませんが、これらを摂取したあとは呼気中にアルコールが検出されることもあるため、運転をする前の摂取には十分に注意が必要です。
「乗務前に蒸しパン」で懲戒処分に
過去には、市営バスの運転手を務める40代男性の乗務前の呼気検査でアルコール分が検出されたとし、戒告の懲戒処分となったというニュースがありました。この40代男性は2022年10月23日朝の乗務前検査で、呼気1リットル中に0.11ミリグラムのアルコール分が検出されたといいます。
なお、道交法で“酒気帯び”として定められている呼気中のアルコール濃度は、呼気1リットルあたり0.15ミリグラム以上ですが、高槻市では内規で0.07ミリグラムを基準としていました。
戒告の懲戒処分となった運転手の40代男性は、出勤途中の車内で蒸しパンを食べたと説明。飲酒はしておらず、道交法上では酒気帯びにあたらない数値ではあるものの、蒸しパンが原因で呼気1リットル中に高槻市の内規を超えるアルコール分が検出されてしまったということになります。