乗る機会はないけれど、なんだか悔しくて
AT限定を解除するには、あらためて教習所に通う方法が一般的です。その際は「4時間以上の講習」が必須であり、費用としても5万円前後がかかります。手間とコストを考えると、「よほどの理由」がないかぎり解除することはないと思われますが、とくにMT車に乗る必要性もないのに限定を解除した人も。「大学1年にAT限定で教習所に通いはじめたんですが、同時期に通っていた友達が2人いて、どちらもMTだったんですよね。免許や車の話になるたび、2人が『半クラが~』とか『坂道発進が~』とか話しているのを聞いて、ちょっと疎外感もあったんです。
その時点で『自分もMTの方がよかったのかな』と思うこともあったんですが、まぁどうせATにしか乗らないし、そのまま限定で取ったんですけど。なんだかその後も、免許の『AT車に限る』という記載を見るたび後ろ髪を引かれるような気持ちが残っていました。
就職が決まってから、『ずっと気にするくらいなら、今のうちに解除しちゃおう』と思って、限定解除のコースに通いました。最初に思ったのは、『えっ、アクセル踏んでも走らないじゃん。全然違う乗り物じゃん』ということですね。
ネットとかでAT限定をバカにする人をよく見かけますけど、最初に乗ったときは正直ちょっと納得してしまいました。難易度違いすぎるだろって。4時間の教習中、ずっとガクガクしてましたよ。
今でもMT車を運転する機会はないですけど、車がどういう風に動いているのか、AT限定だった頃より掴めるようになった気がして、解除した意味はあったなと思っています」(20代男性)
現在ではAT限定免許が新規取得者のなかで「多数派」となり、限定だからとケチをつける風潮は弱まっていると考えられます。
一方で、インターネット上などでは依然としてAT限定免許に対して「マウント」をとる人も見られます。人によっては、そうした声が我慢ならないという人もいるのかもしれません。
ただ今回のお話では、「MT車を操作した経験はその後にも活きている」とのことですから、精神衛生的な面のほかにも限定解除のメリットはあったのでしょう。