欧州

2024.11.15 11:30

ウクライナ軍のレオパルト2戦車が接近戦、ロシア軍の装甲車列を撃破

チェコ陸軍のレオパルト2A4戦車。2024年5月、チェコ東部リババ(TLF / Shutterstock.com)

ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州の要塞都市ポクロウシクを包囲するにはまず、南へ30kmほど離れたボウチャ川沿いの都市クラホベからウクライナ軍の守備隊を後退させなくてはならない。

ウクライナ陸軍第33独立機械化旅団とそのドイツ製レオパルト2A4戦車がそれに立ちはだかっている。

11日、ロシア軍の装甲車両の縦隊がクラホベのすぐ南の村ダリニェに突進してきた。ロシア側がクラホベを迂回・遮断するためにダリニェで突破を図ったのは明らかだ。

第33機械化旅団の戦車大隊に31両配備されている重量約55t、乗員4人のレオパルト2A4の少なくとも1両が、ロシア軍の車両に狙いすました砲撃を加え、突撃を素早く止めた。

味方のドローン(無人機)が上空から監視するなか、レオパルト2A4は徹甲弾を発射し、ロシア側の戦車などを撃ち抜いた。その後、友軍のドローンが生存者を追跡し、攻撃している。第33機械化旅団の報告によると、この戦闘でロシア軍は戦車2両、装甲兵員輸送車1両、その他の装甲車両数両などを失った。
「効果的な仕事によって敵の頭はただ吹き飛ばされる」。第33機械化旅団は報告にそう記している。

ウクライナ軍の戦車にとって、この戦闘は元来の戦い方に戻ったものだった。ロシアがウクライナに対して起こした全面戦争では、爆弾を搭載するドローンが広く使われるようになったことで、戦車兵の戦い方は大きく変わった。

米首都ワシントンにあるシンクタンク、欧州政策分析センター(CEPA)への寄稿で、著者のデービッド・キリチェンコは「敵味方のドローンが空域を縦横に飛び回り、重装甲車や大砲といった価値の高い目標を探している。このように空からつけ回されるために、戦車の戦術は根本的に変わった」と書いている。

いまではロシア軍の戦車もウクライナ軍の戦車も、樹林帯に隠れて、数km先の目標に向けて砲弾を数発撃ち込む時にだけ姿を現すのが普通だ。ほかに、ロシア軍による今回の攻撃のように、思い切った突撃を戦車が先導することもあるが、こうした使用法は樹林帯を出ての砲撃ほど多くはない。

キリチェンコはこうした状況を「慎重な戦車の時代」と表現している。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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