起業家

2024.11.25 08:14

リーガルテック世界一へ、LegalOnが実現した「理想のプロダクト」とは

角田 望|LegalOn Technologies

角田 望|LegalOn Technologies

11月25日発売のForbes JAPAN2025年1月号の特集「日本の起業家ランキング2025」で2位に選出されたのは、LegalOn Technologiesの角田望だ。

創業当初に思い描いていたソリューションをようやくかたちに。生成AIをコアテクノロジーとした自信作を武器に、さらなる成長へアクセルを踏む。



「創業時のアイデアとビジョンに会社という器の成長がようやく追いついた」

LegalOn Technologies代表取締役執行役員・CEOの角田望は、この1年を、自社のプロダクト開発における大きな節目だったととらえている。2024年4月にリリースしたAI法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」こそ、角田が本当につくりたかった「理想のプロダクト」であり、新たな成長戦略の象徴だというのだ。

同社は従来、AIレビューサービス「LegalForce」や契約書管理サービス「LegalForceキャビネ」を主力商材として、リーガルテック市場をけん引する成長を見せてきた。国内外で顧客基盤を順調に拡大しており、ユーザー数は6000社を超えた。

LegalOn Cloudは、これらプロダクトの機能を含め、案件管理、契約管理、契約審査、法務調査など、法務・契約業務全般に対応する機能群をクラウド上の単一プラットフォーム上に備える。ユーザーごとに必要な機能モジュールを選択し、それらを組み合わせて自社に合ったシステムを構築でき、各モジュールはカスタマイズ可能。モジュールを横断したシームレスなデータ連携を実現し、AIがナレッジの蓄積を支援したり、それを活用して業務のガイドをしてくれたりといった機能も実装しているという。

もともと弁護士として企業法務の世界に身を置いていた角田は、既存のリーガルテックが法務・契約業務のニーズに十分に応えていないという大きな課題意識をもっていた。個別のプロセスを効率化するためのツールが乱立しており、運用がむしろ煩雑で、業務全体の効率化や最適化にはつながっていなかったからだ。新しいテクノロジーを活用して、あらゆる法務・契約業務を統合的に支援するサービスを世に出し、この課題を解決する。それこそがLegalOn Technologiesを17年に立ち上げた目的だった。

ただし、創業したばかりのスタートアップがいきなり追いかけるには構想の規模が大き過ぎた。実現するための技術的な知識やリソースも備えていなかった。そこで、まずはLegalForceをはじめとする個別の業務を支援するプロダクトの提供に注力。圧倒的な利便性と法務・契約業務での利用に耐えうるクオリティを追求し、右肩上がりでユーザー数を伸ばしてきた。

同社が新たなフェーズに突入したのは22年。ビジネス規模の拡大がさらに加速し、シリーズDラウンドで137億円を調達。同年9月には米サンフランシスコにグループ会社を設立した。さらに、「ChatGPT」の公開に端を発する生成AIの一大トレンドが生まれたことが重なり、LegalOn Cloudの開発が走り出した。

「22年の冬、生成AIが登場したタイミングでLegalOn Cloudを企画しました。生成AIを最大限活用できるような基盤として設計、構築したかったんです」と角田は振り返る。同社は既存のプロダクトでも自然言語処理や機械学習などのAI技術をコアテクノロジーとして位置付けてきたが、生成AIには価値を別次元に導き、角田が当初構想していたプロダクトを現実のものにする可能性を見たのだ。
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文=本多和幸 写真=ヤン・ブース

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