基幹農業従事者が2015年からの5年間で1万5000人以上減少し、高齢化も進んでいる愛知県では、新たな農業の担い手の育成に力を入れている。愛知県立農業大学校では愛知県就農支援ポータルサイトを開設し就農相談に応じてきたが、農業経営の現状を知らない未経験者は、就農に至ることが少ない。
その現状を受けて同校は、AIやVRソリューションの開発などを行うエスユーエスと共同で、バーチャル農業体験コンテンツを開発し公開した。メタバース内の農園で農作業が疑似体験できるというものだ。NTTコノキューが提供する仮想空間プラットフォーム「DOOR」に開設したルームにイチゴ栽培のハウスが置かれ、定植、摘花、収穫、出荷・調整の4つの作業を体験できる。
苗を植えたり、不要な花を摘みとるなどイチゴ栽培の作業を体験しつつ、クイズに答えて先に進むというゲーム形式で、たとえば1000平方メートルに植えられる苗の数、収穫すべきイチゴの見極め方、1000平方メートルで収穫したイチゴのパック詰めは1人でやると何時間かかるかなど、具体的な農作業の基礎が学べる。
これは、行政課題を民間のIT技術で解決するプロジェクト「AICHI X TECH」(アイチクロステック)の一環。このバーチャル農業を体験することで、就農希望者の相談が具体化することが期待される。さらに「自身の適応性や実現可能性を把握できるようになることで、意欲ある多くの担い手を確保・育成できる未来を描いています」とエスユーエスは話している。
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