推定評価額が200億ドル(約3兆1000億円)である同社の創業者の蔡浩宇(サイ・ハオユウ)の保有資産は73億ドル(約1兆1300億円)とされ、今年のランキングの43位にデビューした。現在37歳の蔡は、昨年末にmiHoYoの董事長の職を退いたが、現在も同社における最大の個人株主で、ヒューマノイドロボットやメタバースなどの多岐にわたるハイテク投資に注力している。
蔡から董事長の役割を引き継いだ37歳の劉偉(リウ・ウェイ)は保有資産44億ドル(約6900億円)で86位に入り、もう1人の共同創業者である35歳の副社長の羅宇浩(ルオ・ユーハオ)は同43億ドル(約6700億円)で90位にランクインした。
miHoYoのゲームは基本無料だが、「ガチャ」と呼ばれる課金システムやアプリ内課金で収益を上げており、Sensor Towerによると今年だけで少なくとも10億ドル(約1600億円)を稼いでいる。同社最大の収益源は、2024年10月時点の売上高が世界13位のモバイルゲームの『原神』だ。このゲームは、グーグルのGoogle PlayやアップルのApp Storeに加えて、シャオミのMiストアなどのAndroidベースのプラットフォームからも収益を上げている。さらに、ゲームのキャラクターのフィギュアやアパレル、玩具などの関連商品も販売中だ。
『原神』は2020年のリリースの直後から大ヒットとなり、1年間で20億ドル(約3100億円)の売上を記録していた。このゲームは、日本の漫画にインスパイアされており、アニメやコミック、ビデオゲームの熱狂的なファンを惹きつけている。
大学の同級生3人で創業
miHoYoのサクセスストーリーは、3人の共同創業者たちが通った上海交通大学の学生寮から始まった。7歳で初めてコンピュータを手に入れた蔡は、独学でプログラムを学んでミニゲームを作り、中国のゲーム配信プラットフォーム「4399」にアップロードしていたという。大学に入って劉偉や羅宇浩らとルームメイトになった彼は、彼らとゲームへの情熱を共有し、独自のゲームスタジオを立ち上げることを決意した。3人は、2011年に日本の人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌にインスパイアされた初のモバイルゲーム『Fly Me 2 The Moon』をリリースした。当時の蔡は、家賃が月額3900元(約8万4000円)の事務所でエヴァンゲリオンのTシャツを着て仕事をしていたというが、miHoYoは昨年末に11億元(約236億円)を投じて新本社のための土地を上海で購入している。