感染者は野鳥に触れたことで鳥インフルエンザウイルスに感染したと推定されており、同州の保健当局は現在、感染者の濃厚接触者全員に連絡を取るなどして感染経路を解明するための調査を進めている。
同州で公衆衛生問題を担当するボニー・ヘンリー博士は「この若者と家族に思いを寄せている」とした上で、次のように説明した。「これはめったに起こらない出来事であり、ブリティッシュコロンビア州やカナダ国内でH5型ウイルスが人から検出された初めての事例となるが、米国などでは人間への感染が少数だが確認されており、ブリティッシュコロンビア州での感染源を突き止めるために、私たちは徹底的な調査を行っている」
カナダ当局は野鳥の検査で、米国や日本で確認された鳥インフルエンザウイルスに類似した株を発見していたが、同ウイルスが人間から検出されたのは今回が初めて。同国の牛乳や家畜の検査では、米国で検出されたH5N1型ウイルスと同じ株は見つかっていない。
米国では今年3月以降、農務省が国内15州にわたる440件の乳牛群で鳥インフルエンザウイルスを確認しており、現在も感染が拡大している。同ウイルスは商業用の養鶏場の鶏45羽と、家庭で飼育されていた鶏30羽からも検出された。
世界保健機関(WHO)によれば、2003年以降、5カ国で903件のH5N1型ウイルスの人間への感染が報告されている。うち464人が死亡しており、致死率は51%に上る。だが、重症の人ほど入院し、ウイルスの検査を受ける可能性が高いことから、この致死率は実際より多く見積もられていると考えられる。H5N1型鳥インフルエンザは一般のインフルエンザや新型コロナウイルスなど他のウイルス感染症と似た症状が出ることが多いため、鳥インフルエンザに感染していることに気付かない場合もあるだろう。
米疾病対策センター(CDC)によると、現在米国で主流となっているH5N1型鳥インフルエンザウイルスの人間への最初の感染例は今年4月に確認され、現在までに合計44例が報告されている。これら人間への感染例は、主に感染した乳牛や鶏、野鳥に接触したことで発生したとみられる。だが、ウイルスに感染していても検査をしない場合が多いことから、この数字は大幅に過小評価されている可能性がある。米カリフォルニア州ロサンゼルス郡で今月初め、廃水検査でH5N1型鳥インフルエンザウイルスが検出され、これまで考えられていたよりはるかに広範に人間の間で感染が広がっている可能性が示唆された。
(forbes.com 原文)