サンフランシスコを拠点とするライターは11月12日、既存投資家のアイコニック・グロースのほか、AIにフォーカスしたベンチャーキャピタルのラジカル・ベンチャーズとプレムジ・インベストらが主導したシリーズCラウンドで2億ドル(約310億円)を調達したと発表した。2020年設立の同社の累計調達額は約3億2000万ドル(約500億円)に達し、評価額は従来の4倍の19億ドル(約1900億円)に膨らんだ。300以上の顧客を抱えるライターの年間経営収益(ARR)は今年末までに5000万ドル(約78億円)に達する見通しだ。
ライターは、独自のLLMであるPalmyra(パルミラ)を基盤に構築されたフルスタックのAIプラットフォームだ。パルミラは、同社によれば、ChatGPTのような競合モデルと異なるアーキテクチャを採用しているため、より正確な応答が可能という。同社のモデルは、企業のマーケティング文書やマニュアルから専門用語を学び、財務文書からも詳細情報を抽出する。
ライターの顧客は、パルミラのモデルをベースにカスタマイズされた独自のアプリケーションを構築している。例えば、ウーバーは顧客サポートで使用するためのモデルを構築し、クアルコムの法務チームは、数百の商標を管理し、市場のトレンドを把握するために利用している。また、ドロップボックスは、SEO向けのブログの生成や既存のコンテンツの校正にライターを活用している。
同社は現在、外部ツールにアクセスして独自のアクションを実行できるAIエージェントの構築を計画している。「セールスフォースやアドビ、ワークデイなどの大手が当社に投資している理由もそこにある」と、ライターのCEOのメイ・ハビブはフォーブスに語った。
「ソーシャルメディアで見かける素晴らしいデモと、実際のビジネスで実現できることとの間には大きな隔たりがある。私たちは、顧客が実際にAIの理想的な活用に到達できるようにするための次世代のアクションAIに投資している」とハビブは語った。
OpenAIやアンソロピック、コヒアなどの豊富な資金を持つAI企業もまた、AIエージェントの構築を目指し、企業向けのテクノロジーを提供しようとしている。ライターは、この分野の競争に勝つために、より高性能なモデルのトレーニングとリリースを進めると同時に、コスト削減にも取り組んでいる。