清水氏にはNY在住の現役米系航空会社CAで、フリーランスで富裕層の旅行コーディネートも請け負うほか、かつてはVIP宅のハウスオーガナイザーの仕事もしていた友人がいる。柳田綾子氏(仮名)だ。
柳田氏は、清水氏とともに「知られざる日本の自然を体験したい」という海外富裕層と、「地元の魅力を海外の方にも知ってもらいたい」という地域のマッチングのために「CA地方創生プロジェクト」も立ち上げたメンバーの1人でもある。
清水氏が米国で多くの富裕層の「お金の使い方」を見てきた柳田氏に聞いた、彼らが今求める「モノ」や「体験」とは? 彼らはどこに、何に今、お金を落としたがるのか?
「海外富裕層」は3タイプに分けられる
清水裕美子(以降、——):海外富裕層の求める体験にはどういったものがあるのでしょう?
柳田綾子氏(以降、柳田氏):まず、一言で「海外富裕層」と言ってもそのタイプによって求める物や体験が異なると感じています。
これまでの経験上、個人的な見解ですが、大きく分けると以下の3つのタイプに分類できると分析しています。
1.欧米知識層タイプ
2.東南アジア、中東タイプ
3.ネオ富裕層タイプ(trust fund baby)
まず1.は、欧米で教養のある富裕層の方で、年齢層は幅広く、一般的に日本人が「海外富裕層」と聞いてイメージするタイプかと思います。
茶道体験など文化的体験をただ体験するだけではなく、茶道の本質的な意味を知りながら体験する、といったように、歴史や文化をリスペクトし、それを学ぶことに意欲的です。坐禅体験や自然体験も人気ですね。
あとは、季節ごとの行事、食べ物などにも興味があり、体験したあとはしっかりと説明できるようになりたい、という欲求もあるようです。
日本ならではの絶景も彼らには人気です。シュノーケルで日本の海洋生物を楽しむとか、富士山や、桜を部屋から鑑賞しながらプライベート温泉に入れる場所など——。温泉という日本文化を美しい風景と共に楽しめる場所が人気ですね。
日光や屋久島の縄文杉など、歴史が深いところに積極的に足を運びたがるのもこのタイプ。日本人顔負けの知識を持っている人もいます。
自分の子供たちにも小さい頃から自然体験をさせてあげたいと考え、沖縄ではラグジュアリーホテルに宿泊しつつも、朝早くから自然体験アクティビティに参加するといったスケジュールを組むこともあります。