今年はデルタ航空にとって好調で、S&P500種株価指数が年初来で約21%上昇したのに対し、同社の株価は約56%上昇した。過去3年間におけるデルタ航空株の年間リターンは、S&P500よりも変動が少ない。同株の年間リターンは、2021年にマイナス3%、2022年にマイナス16%、2023年に23%だった。
トランプ政権は航空会社にとって好材料となる可能性があるが、目先には逆風が吹いている。まず、サプライチェーン上の問題により、新たに製造される航空機の供給が遅れている。新造機の納入が遅れる中、デルタ航空は航空機のリファービッシュにも力を入れている。第二に、格安航空会社の台頭により、航空サービスの供給が増えている。最後に、この業界にかかる各種のコストが上昇していることで、航空各社の収益性は圧迫されている。
それでは、デルタ航空の第3四半期(Q3)の業績を見てみよう。Q3におけるデルタ航空の収益は、前年同期比1%増の157億ドル(約2兆4134億円)だった。同社の営業座席数は4%増加したものの、イールド(旅客1人に対する1マイル当たりの収入単価)の平均は3%減少した。営業費用は、人件費や空港使用料の増加により6%増加した一方、燃料費は1桁台半ばで減少した。その結果、営業利益は前年同期比で約30%の減少となった。7月に発生したクラウドストライクが原因のシステム障害により、キャンセルされたフライトの払い戻しが発生し、同社全体の収益性を圧迫した。この障害による損害額は1株あたり0.45ドルとなり、1株あたりの純利益は1.50ドルとなった。
結果的に、Q3決算における収益、純利益ともに市場予想を下回る結果となった。さらに、同社が発表した第4四半期の業績予想も市場の予想を下回っている。
私たちはデルタ航空の目標株価を、現在の水準に近い約64ドルとしている。この予想は、同社の予想収益に0.7倍の倍率を掛け合わせて算出したものだ。この倍率は、過去5年間における株価売上高倍率の平均値である0.8倍を参考にして採用した。
全体として、いくつかのプラス材料と潜在的なマイナス材料が混在しているが、現在のデルタ航空の株価は、適正な値付けがされていると私たちは考える。
(forbes.com原文)