トランプはかねてウクライナに対する米国の援助を縮小する考えをちらつかせてきたほか、現在の戦線に沿った休戦を進めることを計画しているとも伝えられる。いずれもロシアを利することになる。最近、トランプとウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が行った電話会談に、トランプと親密な関係を結び、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とも定期的に連絡を取り合っているらしい大富豪、イーロン・マスクが同席したというのも示唆的だ。
プーチンにとっては、トランプの休戦案が実現する前に、ウクライナの領土をできるだけ速く、できるだけ多く征服することが利益になる。仮にその休戦案が実現すれば、戦線は凍結され、ロシアは、その時点までにウクライナで占領している地域に対する支配を固められることになるからだ。
クラホベに嵐が迫るなか、ウクライナにはかすかな希望の光も差している。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は8日の作戦状況評価で、ロシア軍はポクロウシク攻略に向けてクラホベ方面で前進を図る半面、「ほかのすべての正面で勢いを失い、活動が減っている」と総括している。
とはいえ、これはつまるところ、ロシアがクラホベ─ポクロウシク軸をウクライナで戦略的に重要な軸と見定めたことを意味するにすぎない。
(forbes.com 原文)