最近のAIの進歩により、小売業者やマーケティング担当者は顧客データを分析する強力なツールを手に入れた。だが、見栄えのよいマーケティングコンテンツを制作するのにAIに依存すると、消費者は警戒し、不安を感じる傾向にある。
これらは、今年初めに英ロンドンを拠点とするテクノロジー調査会社ユーガブ(YouGov)が実施した広範なグローバル調査で明らかになった事実だ。人工的に作成されたマーケティング画像やテキストが消費者に与える影響を測定した他の研究でも、同様の傾向が確認されている。
世界17カ国を対象としたユーガブの調査では、消費者の約50%が「AIを使って(実在の有名人の代替として)ブランドアンバサダーを作成し、広告に使用する画像の生成・編集に利用する」ブランドに対して不快感を抱いていることが分かった。
携帯電話のカメラで顔を滑らかに見せたり体型を理想化するフィルターが普及し始めて以降、AI生成画像の役割はデジタルメディア全体で懸念の対象となっている。特に若い女性にとって、そのような不自然な画像は非現実的な基準を設定し、自尊心を損なうと批判されている。
ユニリーバが所有するスキンケアブランドのダヴ(Dove)は、この問題に着目。「AIを使って女性の画像を作成したり歪めたりは決してしない」という約束を示すために、一般の人々を被写体とした短編動画を含む洗練されたマーケティングキャンペーン(ダヴ セルフ・エスティーム・プロジェクト[自尊心プロジェクト])を展開した。
ユーガブの調査では、人間を理想化した画像に対する不快感が製品にも及んでいることが明らかになったが、実際の写真とデジタル加工された画像を区別するのは難しい場合がある。電子商取引プラットフォームを提供するネクセスドットネット(Nexcess.net)は、「消費者はAI生成コンテンツと人間が作成したコンテンツを見分けられるのか?」という疑問に答えるため、世代を超えた調査を実施した。