シンクタンクのブルッキングス研究所によれば、FRBの議長を大統領が解任できるかどうかに関する明確な法的規定は存在せず、過去の大統領たちもこのポジションに対する解任の権限はないと認識していたという。そのため、トランプがパウエル議長に退任を迫ることは、法的にグレーな領域に属することになる。
CNNによると、匿名のトランプの上級顧問は、トランプが残りの任期があと1年半のパウエル議長を解任しようとする可能性は低いと語ったという。また、FRBの幹部たちもトランプが議長に解任を迫るとは考えていないとマーケットウォッチは報じている。
FRBは7日、インフレ率の低下傾向が続いていることを踏まえ、政策金利を0.25%引き下げることを決めたと発表した。これによって政策金利は、2023年3月以降で最も低い水準の4.5%から4.75%のレンジになる。一方、経済学者たちは、トランプが掲げてきたさまざまな追加関税の導入や減税などの政策が、インフレを再加速させ、さらなる利下げが阻害される可能性があると懸念している。
共和党員であるパウエル議長は、2017年にトランプによって任命され、2021年にバイデン大統領によって再任された。しかし、トランプはパウエル議長をたびたび批判しており、解任を求めたこともある。
2018年には、FRBが金利を引き上げたことを受けて、トランプはパウエル議長の解任を検討した。また、その翌年にトランプは、金利の引き下げをめぐる意見の相違から、パウエルを「敵」と呼んでいた。また、2020年にトランプは、パウエル議長を解任する権限があると主張し、同議長の決定を「私の意見では多くが誤っている」と評していた。
パウエル議長は今夏、自身の任期を全うする意向を表明していた。トランプはFRBの独立性に対して反発を示し、8月には、「大統領も少なくとも金利に発言権を持つべきだ」と述べて、自身の経済に関する直感がFRBやパウエル議長の判断よりも優れていると自慢していた。
(forbes.com 原文)