利用にはステーブルコインが必須
ポリマーケットは、高速で低コストなトランザクションを可能にするイーサリアムのレイヤー2のソリューションのPolygon(ポリゴン)を基盤として構築されており、スマートコントラクトを用いて取引を自動化し、セキュリティと透明性を確保している。また、すべての賭けのデータはブロックチェーン上で確認できる。さらに、ポリマーケットは、既存の賭けのプラットフォームとは異なり、「ハウス」として機能せず、ユーザーに対してポジションを取ることもない。これにより、インサイダー情報の不正利用に関する懸念を排除し、需要と供給によって価格が決まるピア・ツー・ピアのマーケットプレイスとして機能している。ポリマーケットの価格は集合的な確率を反映し、ユーザーがシェア(持ち分)を売買することで変動する。また、すべてのトレードは、米ドルにペッグされたステーブルコインの「USDC」で行われる。
ポリマーケットの分散型の性質は、ユーザーにウォレットに対する完全なコントロール権を与えている。また、このプラットフォームのサービスは、理論上は、世界中からアクセスが可能だが、過去に商品先物取引委員会(CFTC)から罰金を科された際の和解条件に従って、米国の居住者が取引できないようにしている。
噴出する批判と法的問題
ポリマーケットに向けられる批判は、いくつかあるが、その1つが「クジラ」と呼ばれる大口トレーダーの存在だ。ニューヨーク・タイムズは10月に、あるクジラが4つの異なるアカウントから合計2860万ドル(約44億円)の賭けをトランプの勝利に対して行い、トランプの勝率を押し上げたと報じていた。また、フォーチュン誌は、ブロックチェーン調査会社のアナリストがポリマーケットでウォッシュトレードの兆候を発見したと報告した。ウォッシュトレードとは、伝統的な金融市場では違法とされる市場操作の一種で、同一人物が同時に売り手・買い手を務め、取引高を水増しすることを指す。このアナリストは、ポリマーケットの実際の取引高は、当初報告されていた額を大きく下回ると主張していた。
しかし、ポリマーケット側は、「当社は、プラットフォーム上のすべての取引の透明性を維持し、公開しており、研究者にも開かれている」と強調し、「市場操作を明確に禁止している」と述べている。
さらに、米国の当局の規制の先行きの不透明さも、ポリマーケットの将来に疑問を投げかけている。同社は、2022年に元CFTC議長のJ.クリストファー・ジャンカルロを顧問に迎え入れたが、それでも米国の規制は厳しいままだ。しかし、トランプが暗号資産に対する好意的な規制の導入を示唆しているため、この状況は、間もなく変わるのかもしれない。
(forbes.com 原文)