ウクライナ製のアエロプラクトA-22軽量スポーツ機を遠隔操縦式に改造し、爆発物を搭載したこのドローンは、ウクライナ国防省情報総局(HUR)の要員に遠隔操縦されて、桟橋に並んで係留されていた数隻の艦艇に突っ込んでいった。ロシア海軍の水兵らのなかには、ドローンがぶつかる直前に退避した者もいたようだ。
元ウクライナ内相顧問のアントン・ヘラシチェンコは、カスピ小艦隊で最大の艦であるゲパルト級フリゲート2隻と、それより一回り小さいブーヤン級コルベット1隻が損傷したらしいと伝えている。この小艦隊の3分の1程度の艦艇が被害を受けたのかもしれない(編集注:HURは複数のウクライナメディアに攻撃で少なくとも2隻が損傷したと述べているが、OSINTアナリストからは被害は現時点では確認できないとの報告もある)。
Reports appeard that two warships were hit in Russian Kaspiysk.
The "Tatarstan" and "Dagestan" missile ships were reportedly damaged in a drone strike on the Caspian Fleet in Dagestan.
Small missile ships of Project 21631 Buyan-M were also damaged. https://t.co/B0Q9QBRJO9 pic.twitter.com/x06v45zlvz— Anton Gerashchenko (@Gerashchenko_en) November 6, 2024
前線から1100キロメートルというのはA-22改造ドローンによる遠距離攻撃の距離としては最長ではないものの、それに迫るものだ。最高時速170キロメートルほどのこのタイプのドローンは今年5月、前線から1300キロメートル以上離れたロシア西部バシコルトスタン共和国サラバトの製油所を攻撃していた。
もっとも、ウクライナで開発・製造された軽飛行機型ドローンは間に合わせのものだ。ウクライナの主要な支援国である米国、英国、フランスはウクライナに長射程の弾道ミサイルや巡航を供与しているが、ウクライナがロシア領内の目標に対する攻撃に使用することは一貫して認めていない。ロシアによるウクライナの都市や基地に対する攻撃に対抗するためにも、ウクライナはさまざまな国産ドローンを即席で自作したり、もともと保有していた地対空ミサイルを対地攻撃に転用したりせざるを得なかった。2カ月半後にトランプがホワイトハウスに戻ってくるなか、あり合わせのものを活用するウクライナの自助努力はさらに重要性を増すかもしれない。