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2024.11.10 08:00

AIエージェントは「アプリ経済」を終わらせるのか

Getty Images

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「アプリ経済」は、急速に終わりに近づいている。

これは衝撃的な意見かもしれないが、アプリ経済がいかに終わりに向かうのか、そのシナリオを以下で解説しよう。

この1年というもの、筆者は、我々が使用しているエンタープライズ向けソフトウェアやSaaS(サービスとしてのソフトウェア)系のサービスのうち、どの程度が、単なるデータサービスやデータベースに格下げされるか、その行方を注意深く見守ってきた。

人工知能(AI)ツールやAIエージェントは、抽象化レイヤー(高レベルのリクエストを、より下の階層のコマンドに変換するシステム)を取り去り、画面1つで全部を把握できるユースケースの実現を可能にする。そうなればユーザーは、マルチモーダルな生成AIツールを用いて、特定のクエリやユースケースに即したユーザーインターフェース(UI)をリアルタイムで構築可能になる(生成AIを用いた検索をビジネスに活用する事例を思い浮かべてほしい)。

では次に、アプリの利用体験について考えてみよう。現時点ではほとんどのユーザーが、モバイルデバイスやタブレットと情報のやりとりをする際に、アプリを使っているはずだ。銀行との取引や旅行、仕事、ゲームなど、日常のあらゆることに、数百とは言わないまでも、数十のアプリを使っている人も多いだろう。

すべてをうまく機能させるために、我々はアプリをフォルダーに分けて整理している。そして、アプリへのログインとアクセスを容易にするために例えばFace ID(Appleが開発する顔認証システム)を使っている。その過程で我々ユーザーは、快適な使用体験と引き換えに、これらのアプリに対して、個人データに対する無制限のアクセスを許可している。そして、こうしたデータがどのように使われているのか、という問題にはほとんど関心が払われないことも多い(これはまた、別のトピックだが)。

アプリの開発者は、より良いUIやユーザー体験(UX)を目指してアプリを構築し、ライドシェアやホテル、フライト予約、食事、さらには投資サービスなどのデータサービスと接続させている。

では、以下のような未来を想像してみてほしい。そこでは、AIで駆動するデバイスが、GPUやNPU(Neural network Processing Unitの略、AI用に特化したプロセッサ)を活用した、強力なセキュリティを実現するオペレーションセンターを実装している。最高の接続性が実現され、デジタルアシスタントやエージェントが、オペレーティングシステムのレベルに常駐している。ユーザーは、デジタルアシスタントに話しかけるだけで済むという未来だ。

筆者の考えでは、これこそがApple Intelligenceが大きな可能性を持つ分野のはずだ。つまり、Siri(最終的に別の任意の名前で呼ばれてもかまわないが)がユーザーの要求を理解し、アプリを選り分け、最高の体験をもたらしてくれるアプリを横断的に参照する、という姿だ。これは、Androidに常駐するであろう「スーパーエージェント」に似たものになる。

旅行の手配を例に考える、究極のアプリ体験

旅行に関する予約をしようと思えば、現時点では、Googleフライトのようなアグリゲーターサービスか、エクスペディアのようなアプリを使うことになるだろう。これらのアプリは、幅広いデータセットにアクセスできる機能と、フライトや宿泊の予約を容易にしてくれるユーザーインターフェースを備えている。

一方で、ユーザーである我々は、比較を担う特定のアプリ(あるいはアプリ群)が使うデータサービスに囲い込まれた状態だ(こうした比較サービスの例としては、Googleフライトや、オンライン金融サービスマーケットプレイスのレンディングツリー(LendingTree)がある)。

だが将来的には、OSレベルに組み込まれ、こちらのニーズにマルチモーダル(テキストや音声による入力)で対応してくれるデジタルアシスタントを活用できるようになるはずだ。こうしたアシスタントに何ができるか想像してみよう。例えば、サンフランシスコへのフライト、木曜日までのホテル、空港に着いた時にピックアップしてくれるドライバー、水曜日に行うディナーミーティングに使うレストラン。これらすべての予約ができる上に、その間、ミーティングのスケジュールを確定させるなど、他のタスクも並行して行えるようになるはずだ。

こうしたアシスタント兼エージェントになるテクノロジーなら、ユーザーの希望に即したサービスを提供できるはずだ。その一例としては、マイレージプログラムのステータス、予算、座席の好みや空席状況に基づいて、ユーザーが選ぶべき航空会社を提案するといったものがある。さらに、セキュアな決済システムを用いてこうしたタスクを完了させられるだろう。ユーザーのお気に入りのライドシェア、あるいは配車サービスアプリを選び、予定しているミーティングに関する情報に基づいて、部屋の種類やアメニティ、サービス、立地条件などに基づいたおすすめのホテルを選んでくれるはずだ。

レストランの予約に関しても、同様の原則が適用される。もちろん、ミーティングの予定設定も簡単に行えるだろう。旅行の目的を確実に果たしたいなら、こうしたAIアシスタントが常に役立ってくれるはずだ。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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