改革が進んだ結果、外注の職人から社員になった田中良さんは、長く付き合ってきた同い年の彼女と結婚したという。田中さんは「社員になって生活が安定し、『結婚しようか』みたいな感じになりました」。まさに〝SoFun〟な効果だ。
「ちょっとうちの面倒もみて」
──現在、ミサキの経営はどうですか。吉川:ミサキの経営を2年しました。年率でいうと今40%ぐらい伸びています。建設業全体が元気かって言ったらそうではなく、市場自体は縮んでいます。その中でやはり元気なところに声がかかると思います。
また、「ちょっとうちを面倒見てくれへん?」「うちの会社も引き取ってくれないか?」といった話も出てきます。横も縦も含め、産業再編の核になれるような企業なのかどうなのかっていうのをすごく見ます。
──業界構造全体を見て、SoFunが立て直したら業界全体がよくなり、会社もSoFunも幸せになれるかを考えていらっしゃる。
吉川:それを地域地域でやっていって、核のある企業をつくっています
──地域に貢献できそうな会社の目利きをしているわけですね。他にはどのような企業を担当しているのでしょうか。
平井:不動産と建築をしている会社です
吉川:最初にこの2社をやって、それから1年間は案件探しをしなかったんです。本当に経営をしていくにはどういう要素が必要なのかを1年間ずっと貯め続けて蓄積していって、1年間でそれを仕組み化していくチームを大きくしていくっていうのが手操の役割でした。
──吉川さんと平井さんが承継して、手操さんが体系化していったということですか。
吉川:そうです。
不動産会社も再生
平井氏が継承したのは、滋賀県内に複数の店舗を構えるsobuグループ。地元を中心に住宅建設や不動産を扱うグループ企業だ。家づくりに加えて、土地の売買や仲介など事業を拡大してきた。しかし、従業員が増え、業務が細分化すると、うまく収益が上がらなくなってきたという。創業者の奥文宏氏は1級建築士。財務がわかる元銀行マンの挑戦に賛同した。
奥氏は「もともと事業承継をするっていう意向も本来は薄かったんですけど、SoFunさんの取り組み、一体化でやっていただく中で、もう一方ワンランク上を目指すのに思い切ってそういうふうに進めてみようと」
平井氏が推進したのは、主に予算管理。見積もりの項目や、そのコストを明確にすることで、顧客には低価格を、会社は収益を確保することができた。
そして自ら分譲地開発などを手がけることになった。今の目標はグループ売上高10億円を安定して出せる企業にすることだ。
「もともとは2期連続で赤字。毎期1000万ぐらいの赤字を直近で出していました。承継後は、約半年で黒字化を達成でき、次の期についても大幅に増益が見込める状況になりました」(平井氏)