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2024.11.11 18:15

近江の元銀行マン3人が立ち上げた「SoFun」の新・事業承継の手法

後継者候補を1人にさせない


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──一般的なM&Aとは異なり、SoFunは事業承継に悩む中小企業の経営者と後継者候補のマッチングから始まるので透明性が高いです。もし合意すれば、どのように事業承継がスタートするのですか?
 
吉川:まず、SoFunが基本的に100%の株式を買い取ります。
 
──ファンドのように出資するという形ですか。
 
吉川:出資というよりは融資です。我々の周りに元オーナーだったり、我々の志に共感した協力企業さんであったり、経営者であったり、専門家の方というのが各地域でチームを組み、三位一体になって経営を一緒にやっていくっていうのがチーム型経営です。後継者候補を1人で経営させないスタイルです。

100%の株式を買い取る、超重要な「理由」​​



──株を100%譲り渡すことは、経営者の心理的ハードルが高い会社が多いと思いますが、対象は株を渡してくれる会社というのが前提になっているのですか?
 
吉川:はい。基本的に100%株式を買い取ります。「最後は株」ということは、コンサルをしていても嫌ほど感じたところです。
 
こちらがどれだけ良い提案をしたところで、実際に経営や事業に向き合うのはオーナーや従業員になります。つまり、オーナー権を持たなければ何もできないというのを実際に感じていました。だから、やるなら資本を持ってすべての責任を背負い込んでやらないと変えられないという思いがありました。
 
手操:私が事業承継に関わる中で結構多く見た失敗例というのが、「株は助走期間が終わったら渡しましょう。なので引き継ぎが大事ですよ」みたいな形です。
 
──株はあとで、という形ですか。
 
手操:そうです。後継者候補が従業員から上がってきて、副社長だったり専務とかを3年やった後、「こういうスケジュールで株を渡していきましょう」みたいな話は出るのですが、結局その株を渡さなかったり、我々が何か活躍をしたときにうっとうしくなってきて追い出されてしまったりすることがあるんです。
 
だから、承継は「軟着陸」ではなくて、変わっていくことの裏付けとしての株を持つことがいかに大切かというのは実感しました。
 
──事業承継の要は経営者ですが、継ぐ人が株を持っている必要があると。
 
吉川:そうです。ある実証実験をしました。私は、まず株を持った状態で京都の建設会社を事業承継しました。最初は私も経営の素人です。同時に、平井はコンサルという立ち位置で株を持たずに行きました。
 
そうすると、僕が1週間でできることが平井は1〜2カ月かかったんです。事業承継って少なからず変化を起こしていかないと失敗する確率が上がってくるので、やっぱり資本を持っている・持っていないというのが非常に大きいのです。

廃業寸前の建設業をよみがえらせて​​



代表の吉川氏が自ら承継者として赴いたのは、京都で建設業を営むミサキ。創業44年、関西でナンバー1の実績を持つ企業だった。
 
しかし、過去に事業承継に失敗。廃業に追い込まれそうだったのを、SoFunが1号案件として2021年に買い取った。
 
赤字の原因はどこにあるのか。これまで電話と紙ベースで行われていた受注をクラウドでリアルタイムに管理し、現場の職人とも共有。効率を上げたことで、施工する案件の数も増えた。
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