これを受け、本ランキングに入るための最低資産額は、昨年の34億ドルから39億ドル(約6000億円)に上昇した。
今年のランキングでは60人が資産を増加させたが、22人は減少させた。その中で注目されるのは、農夫山泉の創業者の鍾睒睒(チョン・シャンシャン)だ。彼の資産は、農夫山泉が中国の市場での激しい価格競争に直面した結果、昨年から93億ドル減少して508億ドル(約7兆8500億円)となり、金額ベースでの最大の減少を記録した。しかし、鍾は4年連続で首位の座を守っている。
一方、資産を最も増加させたのは、テンセント・ホールディングスの会長の馬化騰(ポニー・マー)で、彼の資産は、147億ドル増加して468億ドル(約7兆2100億円)となり、昨年の4位から2位に浮上した。テンセントの株価は、オンラインゲームやストリーミングサービス、広告収入の増加により、過去1年で49%上昇した。
バイトダンスの共同創業者である張一鳴(チャン・イーミン)の資産は、5%増加して456億ドル(約7兆300億円)に達したものの、順位を1つ下げて第3位となった。TikTokの親会社であるバイトダンスは海外での規制問題に直面しており、5月には米政府を相手取り、アプリを売却しなければ全国規模の禁止に直面するという法律を無効にするための訴訟を起こしていた。
格安Eコマースサイトの「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」やその海外版の「Temu(テム)」で知られるPDDホールディングスの創業者のである黄崢(コリン・ファン)の資産は、77億ドル増加して439億ドル(約6兆7700億円)となったが、順位を第4位に下げた。PDDのサイトは、節約志向の中国の消費者に支持されているが、同社は、増収率の鈍化に直面している。
今年のランキングには、新たに8人が加わったが、そこには、世界的大ヒットとなった『原神』で知られるオンラインゲーム開発企業miHoYo(米哈游)の共同創業者の蔡浩宇(サイ・ハオユウ)や劉偉(リュウ・ウェイ)、羅玉浩(ルオ・ユーハオ)らが含まれている。蔡の資産は73億ドル(約1兆1300億円)とされた。
また、「ブラインドボックス」と呼ばれる中身が見えないカプセルに入ったフィギュアを、約8ドルで販売する事業を海外に拡大した玩具メーカー「POP MART(ポップマート)」の創業者の王寧(ワン・ニン)も資産59億ドル(約9100億円)で、ランキングに加わった。
今年のランキングには、11人の女性富豪が含まれているが、その中の最年少は、今年2月に亡くなった中国の飲料メーカー大手「杭州娃哈哈(ワハハ)集団」の会長の宗慶後(ゾン・チンホウ)の1人娘の宗馥莉(ゾン・フーリー)だった。ワハハの会長とCEOの職務を引き継いだ42歳の宗の資産は56億ドル(約8600億円)とされた。
今年のランキングでは17人が圏外に沈んだが、その中には、今年4月に香港証券取引所での取引を停止した不動産開発会社、碧桂園(カントリー・ガーデン・ホールディングス)の会長の楊惠妍(ヤン・ホイエン)が含まれている。