アジア

2024.11.07 11:00

中国の景気刺激策、「最大規模」でも効果は望み薄

ゼロコロナ政策が経済の足を引っ張っていた2020年から2021年にかけて、中国政府は成長の原動力を不動産開発から高度な技術の追求にシフトする必要があると判断した。それに伴い、政府は突然、関係者に調整する時間を与えることなく不動産開発への支援を打ち切った。あらゆる種類の金融支援や地方政府との馴れ合いを通じて数十年にわたって不動産開発を促進してきた後でのことだ。不動産関連事業は一時、地方経済の45%近くを支えていた。

政府の支援をうまく利用しようと資金を借り入れて事業を展開していた不動産開発大手の経営はすぐに悪化し始めた。2021年の恒大集団を皮切りに、不動産開発業界で経営危機が広まった。政府は2年もの間、影響の抑制に動かなかったため、経営危機は住宅購入の急減と、前述したように不動産価値の急落につながった。不動産企業の経営危機の余波を受けた金融機関はかつてのように不動産業界を支えることはできなかった。

政府の失策は他にもある。2023年に、電気自動車(EV)や人工知能(AI)など重要産業とみなすテック関連に注力することで、失速するかもしれない成長を促進することができると判断した。そうして政府はこれらの分野に巨額を投じた。消費者や企業、金融市場の負担を軽減するのに使うべきだった資金が注がれたのだ。だが中国経済はすでに弱体化していたため、これらの分野で増えた生産を吸収することはできなかった。また、貿易相手の欧米や日本の不満に直面した中国が頑に強硬姿勢を取ったことからこれらの国々の企業は急激に在庫が増えた中国のハイテク製品を買おうとせず、生産能力を増強したばかりの中国企業は買い手を見つけることができなかった。

このような一連の失策を考えると、経済のニーズや金融セクターの要望に対する中国政府の今後の取り組みに期待をかけることは難しい。当分の間、中国の経済成長は低水準となると考えるのが妥当だろう。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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