ライフスタイル

2024.11.09 15:00

自身の使命を再認識した伝統織物のジャケット:The Gift(川村憲一 トラストバンク)

贈り、贈られたモノや体験は、人生を変えるほどの力を持つことがある。企業のトップ、リーダーたちが経験した、モノや体験に介在する特別な思い入れを紹介する。自身の生き方、サクセスストーリーにも影響を及ぼしたであろう「GIFT」の逸話には人間味あふれる姿がある。希薄化も言われる現代の人間関係とは異なる、特別な関係だ。
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THE GIFT #17

川村憲一
トラストバンク代表取締役
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MIZENの多摩織のジャケット。
ジャケットはオーダーメイド。採寸時には何を贈られるか知らされず、
完全なサプライズだったという。
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2022年4月、合弁会社「AINUSホールディングス」設立の記者発表をした日のこと。同社の代表であり、トラストバンクの創業者でもある須永珠代から、MIZENというブランドの多摩織のジャケットを贈られた。
 
MIZENは、着物に生かされていた日本の伝統技術を現代のファッションに融合させ、提案しているブランドだ。サプライズで手渡された驚きと嬉しさに加え、織り地の繊細な美しさからは地域が誇る織物業の伝統、そして職人の手仕事の価値が伝わってきた。
 
トラストバンクは“地域の可能性を共創する”をミッションに掲げており、私自身も直接その土地に出向き、地域に根差し活動する方々の熱い思いを肌で感じ、また、その時間を大切にしている。思えばそれは、まさに須永のスタンスそのもの。私はそこに共感してこの会社にジョインし、20年に代表を引き継いだのだ。

この贈り物を通じ、地域とのつながりを大切にすること、そして伝統を守りながらも新たな価値を生み出すことのバトンを託されていることをあらためて感じた。そしてこのジャケットをまとうたび、地域共創の主役は、あくまで各地のつくり手であることも同時に自覚するのである。
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かわむら・けんいち◎1972年、北海道生まれ。食品専門商社、コンサルティング会社、大手EC企業を経てコンサルティング会社設立。2016年にトラストバンクへ参画。ふるさとチョイス事業統括やアライアンス事業統括を担当。19年トラストバンク執行役員、同年10月取締役、20年より現職。

文=伊藤美玲 イラスト=東海林巨樹

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年11月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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