しかし、パスワード共有の取り締まりや広告付きプランの拡大など、最近のネットフリックスの施策が成功する一方で、同社には課題もある。
収益成長が鈍化する可能性
ネットフリックスの収益は順調に成長を続けている。収益は2019年の約201億6000万ドル(約3兆718億円)から2023年には約337億ドル(約5兆1346億円)へと増加したが、これを年間の成長率に換算すると1年あたり約14%の成長率になる。また、2024年には収益が約15%成長し、390億ドル(約5兆9433億円)近くになると予測されている。しかし、今後ネットフリックスの収益成長は大幅に鈍化し、1桁台前半から半ばの成長率まで落ち込む可能性もあると私たちは考えている。それはなぜか?
ここ数四半期におけるネットフリックスの成長の大部分は、会員数の増加に起因する。同社は2023年1月初旬から2024年9月までの間に5000万人以上の会員を獲得し、会員数は約2億8300万人に達した。
ネットフリックスは昨年からパスワードの共有に制限を加え、他人のアカウントを使用している人は自分のアカウントを作成するか、同居人以外のユーザーにアカウントを共有できるオプションが付いたプランに申し込まなければならなくなった(訳注:翻訳記事執筆現在、この「Extra Members」機能は日本では未導入)。このアカウント共有の取り締まりによって会員数は増加したが、その影響は短期間で終わる可能性がある。この施策はすでに現在100カ国以上で実施されており、今後この方法から得られる成長は比較的限られるだろう。
また、このパスワード共有への制限が潜在的な会員を数年前倒しで獲得し、将来的な成長率を下げる可能性があっても不思議ではない。実際、ネットフリックスの有料会員純増数はこのところ鈍化している。米国とカナダにおける第3四半期の有料会員数の増加分は69万人で、第1四半期の250万人、第2四半期の約150万人から減少している。