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2024.11.06 13:30

介護テックの先駆者Rehab Cloudが「科学的介護」で拓く新市場

木村:当時のプロダクトは、介護従事者に対して、患者さん一人ひとりの状態に合わせた機能訓練の仕方を提示する「リハビリのクックパッド」のようなもので、個人向けに販売していました。あのときは正直、ヤバいなと思いましたね。

僕自身、最初の投資で失敗するわけにはいかないという焦りもあった。どうすればマネタイズしていけるのか、深く議論しながら今の「Rehab Cloud」に近づけていきましたよね。そして、方向性は踏襲しつつ、ビジネスモデルを法人向けに転換して、デイサービスなどの介護事業者に導入してもらう仕組みに。Rehab Cloudをリリースした18年以降は、うまく盛り返すことができましたし、大久保さん自身も、経営者としてすごい勢いで成長していると感じます。

大久保:リハビリの専門家から経営者へと変わっていく過渡期だったんでしょうね。僕たちにとってのお客さんは誰で、そのペインをどう解決するのか、そしてお金を払ってでも使いたいと思ってもらえるプロダクトなのかをすごく意識するようになりました。おかげさまでRehab Cloudは現在、累計導入数が2600事業所まで増えていて、実際に約30万人以上の高齢者の方が僕たちのサービスを介したリハビリを受けている状況です。

今、デイサービスに通う要介護(要支援)者数は200万人強なので、市場シェアの10%以上を取れています。介護テックのフロントランナーとして、業界をけん引する存在になっていきたい。

木村:最近では、厚生労働省の介護関連のタスクフォースでコメントをさせてもらうような立場にもなっていて、成功事例になりつつあると思います。日本は最も高齢化が進んでいる課題先進国で、ここでつくったものは、世界で最初のプラットフォームやユーザー体験になっていく。介護テックのイノベーションの模範として背中を見せていきましょう。


きむら・りょうすけ◎ライフタイムベンチャーズ代表パートナー。一橋大学商学部卒。プライスウォーターハウスクーパース(現:PwCアドバイザリー)、KPMGヘルスケアジャパン、インキュベイトファンドを経て2017年1月より現職。

おおくぼ・りょう◎Rehab for JAPAN代表取締役社長CEO。リハビリ養成校を卒業後、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事。法政大学大学院政策学修士号取得。2016年Rehab for JAPAN創業。作業療法士。

文=眞鍋 武 写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年11月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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