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2024.11.06 11:15

桝太一が学術監修 日テレ発「ブルーカーボン」、三浦半島4市1町と連携できた理由

まちや産業を盛り上げるため、企業と自治体はどうタッグを組み、地域の課題解決に繋げているのか。実業家のクレイ勇輝が訪ね歩く連載「クレイ勇輝の『企業版ふるさと納税』聖地巡礼」。 
 
今回は、日本テレビと三浦半島の4市1町の自治体が連携しながら進める「ブルーカーボン」の取り組みに着目。

自治体側の旗振り役である上地克明・横須賀市長と、元日本テレビアナウンサーで現在は同志社大学ハリス理化学研究所専任研究所員の桝太一氏、日本テレビ・サステナビリティ事務局長の荻野健氏との座談会をお届けする。
 

“砂漠化”が進む、深刻な磯焼けの状況

クレイ勇輝(以下、クレイ):普段は自治体の首長や企業の代表の方との対談から企業版ふるさと納税の取り組みをお伺いしていますが、今回は3人の方にお集まりいただきました。
 
お三方を結んだのは「ブルーカーボン」の活動です。この言葉を初めて耳にする方もいると思いますので、学生時代に海洋生物の研究をされていた桝さんにご説明いただいてもよろしいでしょうか?
 
桝太一(以下、桝):まず、ブルーカーボンという言葉自体の認知率を調べるとまだ3割の人にしか知られていないという結果が出ています。言葉の意味も含めて、これから広がっていく活動と言えますね。
 
便宜的にざっくりとした説明になりますが、植物は光合成によって、二酸化炭素を体内に吸収し酸素を放出します。皆さんもそのことはご存知だと思いますが、吸収された炭素の一部は、やがて土壌などに長期間貯め込まれていくことがポイントです。この、陸上に分布する植物が取り込んだ炭素を「緑の炭素」、つまりグリーンカーボンと呼んでいます。ブルーカーボンは「青い炭素」、つまり海に分布する植物や海藻が取り込んで貯留する炭素を指します。
 
近年は、森林だけでなく海藻などからも炭素の吸収・貯留が期待でき、しかもその量がかなり多いことが分かってきていて、2009年には国連環境計画(UNEP)の報告書でも紹介されました。それで今、ブルーカーボンが注目されているんです。
 
クレイ:海藻を増やし二酸化炭素を減らす取り組みを、横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町の三浦半島4市1町で連携して行うことが5月17日に発表されました。
 
5自治体が行政区域を越えて繫がる、それはとても興味深いのですが、抱える問題や重点を置く施策も異なる市町が連携する難しさはなかったのでしょうか?
 
上地克明市長(以下、上地):何も難しいことはありませんよ。“やりましょう”と声をかければいいだけですから(笑)。
 
三浦半島の4市1町は普段から顔の見える関係で、お互いに手の届かないところをカバーする「三浦半島連合」のような考えを持っていました。私は自治体の境界は意味がないと考えているのですが、ブルーカーボンの活動ではなおさらでした。海に境界などありませんから。
 
だから4市1町で「三浦半島ブルーカーボン推進会議(BC推進会議)」を立ち上げ、地球温暖化の影響で進む「磯焼け」を共通の課題として捉え、連携することにしたんです。

日本テレビも、ちょうど「日本列島ブルーカーボンプロジェクト」の取り組みを開始された時期であり、私たちの取り組みにご賛同、ご協力の申し出をいただきました。そうしたご縁もあり5月に行った共同記者会見には、日本テレビのプロジェクトで学術監修を務める桝さんにもご参加いただきました。
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文=児玉也一 写真=岡田清孝

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