桝:共通の問題意識を探り出せれば、そこを足掛かりに協力することは不可能ではなさそうですね。
上地:そうなんです。三浦半島は漁業、農業に従事する方だけでなく米軍基地や首都圏に勤める方など、様々な方々で構成されていて地域性はかなり異なります。その中で、海は共通のキーワードになると思いました。海を無視しては、三浦半島では生活できないですから。
コンテンツ化することで協力者を増やしていく
クレイ:そうやって連携が実現したんですね。これは荻野さんにお伺いしたいのですが、今回の活動は自走させるまでかなり時間が必要になると思うのですが、持続させる方法で何かお考えはありますか。
荻野:ブルーカーボンについて会社に提案した時、私は「70年続けたい」と言いました。
自然相手なのですぐに結果を出すことは不可能です。とにかく海藻が自生することを目標に、ゼロから1、1から5、10と、ある程度群生するまでは支援を続ける必要があると思っています。そのなかで住民の皆さんの意識が変わり、我々だけではなく皆で取り組んでいけるようになればいいなと。
ひとつの自治体や企業の力だけで解決できる問題ではないので、多くの方から力をいただき、私たちもそこに並走するようにして長く続けていきたいと思っています。
桝:そこは、メディアだからこそ仲間を増やすきっかけを作れると思うんですよね。
企業版ふるさと納税は、寄附をした企業の社長と自治体の首長さんの握手する様子が伝えられて終わりになってしまう印象がありますが、メディア企業の場合はそこから番組を制作してコンテンツにすることができるんですね。
環境問題を扱う番組は、率直に言って以前はあまり興味を持たれず観てもらえませんでした。でも今はそういう番組に興味を持って観て下さる方が増えたと思います。特に若い世代の方は、僕が想像できなかったくらい共感してくれたり、環境保全に力を入れている会社で働きたいと考えたりしている人が珍しくなくなってきています。
荻野:日本でも、もっと自分から「寄附しました」と言っていいと思っているんです。「善意でやったのだから、あまり主張すべきではない」という考えもあるとは思いますが、良いことをしたのなら、そこから企業のイメージや価値が高まったり、その活動への賛同者が増えて寄附をする考えが広がったりすれば、それは嬉しいことですよね。
寄附という行為には何かの“想い”があって、そこには物語が生まれる。我々メディアはそれを番組として皆さんにお伝えをしていくことができると思っています。