北米

2024.11.05 12:00

トランプが勝っても「テスラの未来は暗い」、マスクの暴走で顧客離れ鮮明

2024年10月27日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われたドナルド・トランプの選挙集会に登壇したイーロン・マスク(Michael M. Santiago/Getty Images)

テスラのブランド価値は9%も急落

マスクの物議を醸す見解は、テスラの評価が世界最大のブランディング専門会社のインターブランドによる最新のグローバル調査で9%も急落した理由の1つにもなっている。この落ち込みは、主要企業の中で最も大きなものだった。
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「テスラのブランド価値の低下は、戦略とリーダーシップの方向性の変化の結果です」とインターブランドのグローバルCEOのゴンサロ・ブルーホは述べている。「彼らがブランドを長期的にリセットする方法はまだ不明です。マスクが政治的な領域で存在感を発揮しているとしても、テスラが今後乗り越えなければならない規制や課題、競争が激化する市場におけるテスラの立ち位置がどうなるかは未知数です」と彼は付け加えた。

マスクの保守派への肩入れは、テスラの米国で最も売れる車両セグメントへの取り組みである「サイバートラック」の発売と平行して進んでいる。見た目が物議を醸すこの車両の販売台数は、昨年末の販売開始以降に何度もリコールされたにもかかわらず、ケリー・ブルー・ブックによると今年2万8250台に達している。ピックアップトラックは、共和党寄りの購入者に特に人気があり、マスクもサイバートラックの購入者に彼らを想定していたのかもしれないと、エドワーズは語った。

「彼は新たな共和党支持者をEVセグメントに取り込もうとしたのです。けれども、これは思うようには進まなかった。共和党の支持者たちは根本的なところでEVへの購入意欲が低いのです」と彼は語った。
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テスラの10月23日の決算コールでマスクは、政府の補助金込みの価格が約3万ドルの低価格のEVが来年から登場する予定で、これが新規顧客の獲得に役立つと信じていると語った。エドワーズによると、この取り組みはマスクに失望した多くの人々が、テスラが「彼らの理想的な車両」に合致するという理由からテスラに戻って来ることにつながる可能性があるが、そのような人々は、「短期的な記憶しか持っていない人々」に限られるという。

写真家のネイはそのうちの1人にはならないようだ。

「私は、EVを買おうと思ったときにイーロン・マスクのクルマだけは避けたいと思いました。私はいろいろ検討した結果、キアのEVを手に入れましたが、このクルマがとても気に入っています」と彼女は話した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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