ロシア軍が狙っているのは、第79空挺強襲旅団をドネツク市の西30kmあまりのイルリンカ村から押し出すことだ。イルリンカとその周辺の集落を落とせば、ロシア軍は北上し、ドネツク州南部のウクライナ側の防御で要になっているクラホベ市を半包囲できる可能性がある。
ウクライナ軍のドローン(無人機)操縦士、Kriegsforscher(クリークスフォルシャー)は、第79空挺強襲旅団は2週間ほど前から「敵の大規模な攻撃にさらされてきた」と指摘し、「状況は危機的になりかけている」と警鐘を鳴らしている。
03.11.24
Photos from Ukrainian paratroopers from 79 brigade (we help them) from Kurakhove direction. Burning Russian MTLB.advertisement
This brigade is under massive enemy push since October 23. Right now the situation is close to critical because of the flanks of this brigade 🧵 pic.twitter.com/NUiA1iD2my — Kriegsforscher (@OSINTua) November 3, 2024
第20自動車化狙撃師団がイルリンカへの途上で車両に被っている甚大な損害は、戦線全体でのロシア軍装備の記録的な損害の一因になっている。OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのアンドルー・パーペチュアは2日だけで、撃破されるか損傷するか、もしくは遺棄されたロシア軍装備を206点も確認している。同日に確認されたクライナ軍装備の損害は49点にとどまっている。
Here are losses I could identify for yesterday. pic.twitter.com/6lHEbLmZlv
— Andrew Perpetua (@AndrewPerpetua) November 3, 2024
ウクライナのジャーナリストであるスタニスラフ・アセーエフは、この戦法は単純だが効果的だと解説する。アセーエフはソーシャルメディアにこう書いている。
「ロシア軍は引き続き『袋』戦術を首尾よく用いている。この戦術は、われわれの陣地に3面から回り込み、退却のための細い『口』だけ残しておくというものだ。この形になると、戦闘態勢にある部隊でさえ、包囲されるのではないかとパニックを起こしてしまうことが多く、それは部隊の撤退につながる」