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2024.11.05 13:30

TSMC効果と地銀の連携、九州経済の行く先は:ふくおかFG取締役社長 五島久

リーダーには大本営に腰を落ち着けて指示を飛ばすタイプと、時に、自ら動いて前線に立つタイプがいる。五島は完全に後者だ。

若手時代からその片鱗は見せていた。福岡銀行入行後、3店舗目となる宇美支店。いちばん若かった五島は出納の担当になった。出納の仕事はほぼ定時で片づく。物足りなさを感じた五島は、自分から手を挙げて先輩の融資やカード販促の仕事を手伝った。

それがあだになったこともある。担当以外の仕事に力を割くあまり、自分の仕事で大きな事務的なミスをした。「当時は、8年目に係長、翌年に代理補佐に昇進するのが一般的。しかし、私は代理補佐に昇進できませんでした。同期に遅れてつらかったですが、余計なことをしないでいようとは思わなかったですね。“やりたがり”は性分なので、変えられない(笑)」

営業推進部長時代は、情報を取るために東京にもよく出張に行った。フットワークが軽すぎたのか、「いつも席にいない。誰か部長を指導してくれ」と部下はぼやいていたという。

社長になっても性分は変わらず、メディア対応でも自ら先頭に立ち、トップセールスを積極的に仕掛ける。

リーダーは後ろででんと構えて全体をよく見たほうがいいという見方もある。しかし五島は「動けば守備範囲が広がるから全体を俯瞰できる」と気にするそぶりはない。

7月末、日本銀行は追加利上げを決めた。金利のある世界に戻り、五島に見える風景も変わったのだろうか。

「金利は大事ですが、支払い利息の話をする前に、お客様のビジネスの上流過程からご一緒し、成長に貢献できる存在になるべき。デジタルツールや本部のフロント組織・関連会社を充実させて、高度なソリューションを提供する体制をつくっていきます」

金利に左右されない新しいビジネスを構築できるのか。五島の手腕が試される。


ごとう・ひさし◎鹿児島県生まれ。1985年九州大学法学部を卒業後、福岡銀行入行。2015年執行役員、17年ふくおかFG執行役員、21年取締執行役員を経て22年4月より現職。趣味はギター、ドラム。社内メンバーとイベントで披露する腕前。

文=村上 敬 写真=苅部太郎

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年11月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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