彼女は、自身のリンクトインのアカウントに「陸軍長官と一緒にニューオーリンズでテイラー・スウィフトのライブを見たんだけど、最高だったよ」と、2人のツーショット写真を添えて10月27日に投稿した。
OpenAIで国家の安全保障政策とパートナーシップを担当するマリガンは、キラキラ光るハート型のメガネをかけて微笑んでおり、その隣でスウィフトを意識したカウボーイハットを被っているのはアメリカ陸軍の軍政を担う合衆国陸軍長官のクリスティーン・ワーマス(55)だった。
バイデン大統領に2021年4月に任命されたワーマス長官は当時、史上初の女性の陸軍長官として注目されていた。
しかし、彼女のような軍の重要人物が、国防総省(ペンタゴン)との関係強化を狙う人工知能(AI)企業の幹部と週末を過ごしているという事実は、あまり良い印象を持たれない。評価額が1570億ドル(約24兆円)のOpenAIは今年初め、プロダクトの使用ポリシーから「軍事および戦争への使用」を禁止する文言を密かに削除し、CEOのサム・アルトマンや他の経営陣は同社を防衛関連の業務に開放した。
米陸軍のランディ・ファレル大佐は声明で、ワーマス長官は「個人として自身の費用で」コンサートに参加したと述べた。また、彼女とマリガンの「個人的な友人関係」は、2年近くにわたり国防総省で共に働いた結果だと述べ、「イベントでの会話は、音楽とコンサートの熱気に焦点を当てたものだった」と説明した。
大佐はまた、現在もしくは予定されている陸軍とOpenAIの契約はないと付け加えた。
OpenAIの広報担当者も声明で、ワーマス長官とマリガンが「友人であり、今回のライブに行く計画はマリガンがOpenAIに入社するずっと前の、彼女が長官に仕えていた頃に立てられたものだった」と説明した。
しかし、ワシントン大学の法学教授で政府倫理を専門とするキャスリーン・クラークは、2人の親密な関係は、OpenAIの競合にとって懸念材料になり得ると指摘する。「OpenAIと契約を争っている企業は、陸軍長官がマリガンと密接な個人的関係を持っているのであれば、彼女は重要な意思決定への参加から身を引くべきではないかと考えるかもしれない」と述べている。
彼はまた、「私が陸軍長官の立場であれば、マリガンにこの投稿を削除するか、少なくとも自身の役職に触れる部分を編集するよう頼むだろう」と付け加えた。