キャリア・教育

2024.11.04 13:00

長谷部誠の思考法、40歳までサッカー第一線で活躍し続ける

長谷部 誠|元プロサッカー選手

目指すリーダー像は変わっていきました。最初は「チームをひとつにまとめなきゃ」という思いが強かった。でも、次第に「勝つという目標は一致しているのだから、やり方や価値観をひとつにする必要はない」と考えるように。ロシア大会のときは監督と選手をつなぐ中間管理職的な動きに徹したように、必要なリーダーシップは組織や状況によって変わります。リーダーシップに正解はないというのが、今の僕の考え。それはきっと会社でも同じで、組織に合う自分らしいリーダー像をつくっていくことが大事なのだと思います。

30代後半にサッカーがうまくなった

ただ、34歳で代表を引退して、カタい部分が取れたのは確かです。「こうしなきゃ」という思い込みがなくなり、プレイのなかに遊びが出てきたというか。
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実はサッカーがうまくなったのも34歳からです。30代に入ると、スプリントしてストップ、方向転換といった機敏な動きが厳しくなっていきます。それを試合を読む力で補うのですが、代表を引退して「いつ辞めてもいい」と思ったら、スッと力が抜けてプレイに遊び心が出てきました。プレイに幅が出ると試合を読む力も上がり、「このスペースを空けておくと相手を誘い出せる」といった戦術が面白いようにハマりだした。30代後半になって初めて「サッカーってこんなに簡単だったんだ」と思いましたね(笑)。

秋からは、指導者としての道を歩みます。9月からフランクフルトのU-21アシスタントコーチです。

引退後は解説者になったり、(本田)圭佑や(鈴木)啓太さんのように投資家や経営者として歩む選手もいます。さまざまな可能性があるなかで、自分が何に対して熱くなれるかといったら、やはり監督かなと。勝ったときの何とも言えない幸福感、そして負けたときの喪失感や、どこにもぶつけられない怒り──。そういうヒリヒリする感覚が好きなんです。
 
選手と監督では求められるものが違います。もちろん選手としての経験はアドバンテージになるし、なかに入って選手と一緒にボールを蹴れるところも有利です。でも、スタッフも含めチーム全体をマネジメントしたり、それをドイツ語でやらなくてはいけなかったりすることは大きなチャレンジ。ほぼゼロからのスタートです。
 
ただ、選手時代も抜き出たものがないところからのスタートでした。歩む道が変わっても、凡事徹底で一歩ずつやっていきたいと思います。
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はせべ・まこと◎1984年、静岡県生まれ。高校卒業後、2002年に浦和レッズ入団。08年からドイツ ブンデスリーガへわたり、ヴォルフスブルグ、ニュルンベルクを経て14年にフランクフルトで活躍し、24年5月に現役引退。ドイツ1部リーグでアジア人選手歴代最多、外国人選手で歴代2位となる通算384試合に出場。日本代表でのキャプテンとしての出場試合数も81で歴代最多。24年9月よりフランクフルトU21のアシスタントコーチ、日本代表のコーチに就任。

スーツ770000円、Tシャツ86900円、チーフ39600円(すべてブルネロ クチネリ/ブルネロ クチネリ ジャパンTel:03-5276-8300)

文=村上 敬 写真=帆足宗洋(AVGVST) スタイリング=久保コウヘイ

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