欧州

2024.11.01 13:00

英国で外国人労働者の搾取が横行 EU離脱後の移民制度改正で

Christopher Furlong/Getty Images

実際、高額な費用と事務的な負担が、外国人労働者の賃金や労働条件を圧迫している。雇用主にとっては、外国人労働者の採用には追加的な費用がかかるため、費用を削減するために採用する人数をできるだけ抑え、そこから可能な限り多くの価値を引き出そうとする動機が生まれる。その結果、限られた人数の労働者がストレスの多い環境で長時間働くことになる。
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こうした悪循環は、予算や事務負担の管理に苦労している小規模組織で運営されていることが多い接客業や介護業で特に深刻だ。外国人労働者は条件に制約が多く、国の支援を受けられないことから、搾取的な雇用主の下にとどまることを余儀なくされ、経済的に苦しい状況に置かれることが多く、場合によっては帰国せざるを得なくなる事例も多発している。この状況は、第三者の人材紹介会社を通すことによって悪化することがある。ある農家はFLEXに、「正直なところ、(人材紹介会社の利用によって)搾取の道をさらに広げてしまったと感じている」と打ち明けた。

特に介護業界では、労働者が四六時中対応しなければならず、休憩も十分に取れないことが多いため、労働条件の引き下げ圧力は労働者のストレスを増大させ、介護の質を低下させることにつながる。この影響をもろに受けるのは、サービスを受ける側の英国の社会的弱者だ。報告書は、1人の労働者が1日で複数の人の世話をする「訪問介護」の増加を指摘している。訪問介護では、1人の利用者に対してわずか15分しか時間を割けない場合もあるという。FLEXの調査で、ある介護労働者は次のように訴えた。「起き上がることもできない、入浴もできない、自力で食事もできない──、こんなに弱い立場の人を、たった15分でどうやって支援しろというのか?」

他方で、農業や接客業の雇用主は、英国の就労ビザ制度がもたらす構造的な問題から、自らが経営する事業が今後も続くかどうかわからないとFLEXに語っている。接客業界の関係筋は、外国人料理人に依存しているレストランにとって、現行の最低給与基準は事業存続の危機をもたらす可能性があると訴えた。一方、ある農業経営者は、現在の労働力不足を鑑みると、労働集約的な果物の栽培から、穀物のみの栽培に転換しなければならなくなる可能性が高いと述べた。
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FLEXは、労働者と雇用者の条件を改善するために、政府が一連の改革を実施するよう提言した。これには、既存の就労ビザ取得要件の拡大と自由化のほか、料金や事務負担の軽減、労働者に対する支援の強化、労働者の権利と雇用慣行の監視の強化、労働契約の「返済条項」の禁止などが含まれる。

これを受け、政府報道官は「ビザ保持者の福祉は最も重要であり、政府は劣悪な労働条件や搾取を厳しく取り締まっている」と強調した。その上で、移民は英国に数多くの利益をもたらすが、公正な制度を通じて管理する必要があると述べ、技能不足に対処するために国内の労働力を育成するなど、制度全体の見直しを図っていると説明した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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