現役のみならず次世代にレガシィを残す、縦と横のネットワーク
ファシリテーター・大塚氏は自らの体験を語った。「NY駐在員時代、現地では、小さな日本人コミュニティが沢山ありました。しかし、ほとんど連携が取れていない事に気がついたのです。しかし、横の繋がりを大切にし、良いネットワーク作りをしている中国や韓国の方々のコミュニティを目の当たりにし、帰国後、日本でも、女性リーダーのネットワークを強化できるコミュニティを作ってみては?と考えたのです。縦と横の繋がりが強くなれば、次世代に残せる『遺産(レガシー)』になるのではないでしょうか?」そこで、「Toget-HER」を立ち上げたという。「女性リーダー同士、会いたいけれど、会うまでのハードルが高いケースが多い。それならば、オンライン・コミュニティで、繋がりたい人に繋がれる愛あるコミュニティ、というのが、このプロジェクトの主旨です。この話をすると、きらきら女子しか入れないの?と誤解されるのですが、全然そんな事はなく、今より、もうちょっと成長したい。仲間と共にあと一歩頑張りたいと思う方がターゲットです。チョイスするのは自分自身。幸せなキャリアの一環に、このコミュニティを活用していただければ」(デロイト トーマツ大塚バートナー)
具体的には、オンラインの勉強コンテンツなどで、学びの機会を提供する。また、女性起業家にを対象としたピッチなども企画している。さらに、ネットワーク作りも強化していく。「一番大切にしたいのは、リアルな声です。私自身、ある時、尊敬する先輩に『こんな事があってムカつく』と、ざっくばらんに話してみたところ。『分かる〜』と共感してくれた経験がありました。その一言だけで、気持ちがふっと軽くなりました。このコミュニティは、そんな風に赤裸々な声も大切にしていきたいのです。風通しの良いコミュニティを通して、自分のコーチングやメンターを、是非見つけていただきたいと思います」
扱っていくテーマは、ビジネス・トレンド、ウェルネス、ライフスタイルなど、幅広い。
「対話」「諦めない」〜自分のキャリアは、自身がオーナー〜
第一線で活躍する登壇者達からは、次々とリアルな声が寄せられた。働きやすい環境作りについて。例えばマイクロアグレッションを受けた相手に対しても「頑張って話す行為が大切、諦めない事」と、一致した。具体的なコミュニケーション方法としては、「ランチに誘う」なども含めて、改めて「1on1」の重要性が挙げられた。また、リモートと出社を組み合わせるハイブリッド環境の働き方が多い現在、アンケートで見られた「勤務パターンが予測できない」31%、「働き方の柔軟性が低い」25%、「フレキシブルに働きたいが、出社を要求される」24%という悩みも。このような、常に出社が義務付けられている女性に関しては、30%が「自分の所属している職場に、ネガティブな感情を抱いた」という声も見逃せない事実だ。
デロイト トーマツ大塚氏は、「スタンフォード大学の研究で、『男女比がアンバランスな環境では心拍数、血圧など身体的な苦痛が生じる』という実験結果もあります。でも、これは仕事をする上で、由々しき事。それならば、自分のメンタルとしっかり向き合って、自分自身に対して優しくいて欲しいと考えます。」
社会の仕組みを変えるのは、容易でない事も事実だ。居心地の悪い事や幸せと思えない事は、もう、しなくていい。そこで、「自分自身が自分自身のオーナーになる」事を掲げてみてはどうだろう。せっかく所属している会社組織ならば、帰属意識を高める事で、従業員意識も自然と高まっていく。同時に、半径5m以内の人とだけコミュニケーションするのではなく、外部の人と積極的に対話する行為こそが大切。失われた30年といわれている日本と、それを支える女性リーダー達の未来は、女性同士の連携と、自分自身の意識と行動変容で、美しい日本と幸せが構築できるのだから。