年々上昇するマイクロアグレッションの意識と、企業の取り組み
会場では、現役女性リーダーによる、ミニトークセッションも開催された。ファシリテーターは、本イベントの協賛パートナーであるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社パートナー/サステナビリティ・アドバイザリー統括 大塚泰子氏。登壇者は、ポーラ 代表取締役社長 及川美紀氏、富士通 執行役員EVP CMO 山本多絵子氏、一般社団法人スタートアップエコシステム協会 代表理事 藤本あゆみ氏、ジャーナリスト 浜田敬子氏。
ポーラの及川社長は、「社長に就任して5年目を迎えますが、日本では、いまだに女性社長という存在を珍しく思われる文化があります。女性社長自体、もっと数が増えてもいいのでは、と感じています」と語る。富士通 山本役員は、「4年前に富士通に入社し、私自身、様々な変革を進めているのですが、社会は、1社が何か取り組んだだけでは、何も変わらない事に気がつきました。そこで、本日のような女性同士が強い連携を結ぶ『シスターフッド』の取り組みを通して、根幹からチェンジしていければ、と願っています」
スタートアップ支援に従事する藤本理事も、思いは同じだ。「大企業もスタートアップも、働きやすさの観点は同じ世界戦です。そこを基盤に、今回始動したコミュニティを通して、日本文化に則した問題提起をしていきたい」と語る。
デロイト トーマツが発表した、働く女性の職場環境などに対する意識調査「Women@Work2024:A Global Outlook」の日本版では、2023年10月から2024年1月に10カ国5000人を対象にしたアンケートのうち、日本女性500人の回答がまとめられており、実に33%が無自覚に相手を傷つけるマイクロアグレッションを1年以内に職場で経験していた事が報告された。
「過去1年間に、職場でハラスメントを経験した事がある」の回答が、グローバルでは31%、日本では33%。この行為を「所属組織へ報告した」と回答した日本女性は、2022年では21%、2023年では36%、2024年では72%と、確実に上昇傾向がみられる。つまり、差別とまではいかないにしても、無意識なバイアスにより、無自覚に相手を傷つける日常的な言動について、何らかの策を講じたという日本女性の意識は、年々高くなっているのが窺える。
男女雇用均等法が施行されて3年目に朝日新聞に就職し、現在フリーランスでジャーナリストとして活躍する浜田氏は、「私自身、女性問題を広く発信していくなかで、まだまだメディアの力不足を感じています。その要因としては、個々の活動がバラバラである点だと分析しています」