本稿では、ロッキード・マーチンの最近の決算、バリュエーション、株価パフォーマンスなどについて説明する。
Q3決算のポイント
Q3決算におけるロッキード・マーチンの収益は、前年同期比1%増の171億ドル(約2兆6210億円)だった。事業セグメント別に見ると、「航空」セグメントの収益はF-35の生産契約量の減少により3%減少した。「ミサイル及び火器管制(MFC)」セグメントの収益は、多連装ロケットシステムと長距離対艦ミサイルの生産量増加により8%増加した。「ロータリーミッションシステム(RMS)」セグメントの収益は、統合戦闘システムおよびセンサーの需要増に牽引され、6%増加した。「宇宙」セグメントの収益は、宇宙船オリオンの生産量減少により1%減少した。Q3決算における営業利益率は0.4ポイント上昇し12.5%となった。また、発行済み株式総数が4.6%減少したため、最終的なEPSは前年同期比1%増の6.84ドルとなった。
同社はまた、今回の決算発表において通期の業績見通しを上方修正した。新たな見通しでは、収益は712億5000万ドル(約10兆9220億円)、EPSは26.65ドルになると予想されている。
目標株価
ロッキード・マーチンの株価は今年29%上昇したが、これに対して市場全体の上昇率は23%だ。ロッキード・マーチンのQ3決算は私たちの予想を上回ったものの、収益は171億ドル(約2兆6210億円)と市場予想の174億ドル(約2兆6660億円)に届かなかった。そのため、決算発表後に株価は6%下落した。しかし、業績は堅調で、通期見通しも市場予想を上回っており、純粋に業績面だけでのロッキード・マーチン株の下落は不当と思われる。とはいえ、株価は615ドルを超える史上最高値で取引されており、決算に向けてはやや割高感があった。
私たちはロッキード・マーチンの目標株価を、現在の市場価格と同程度の572ドルとしている。この目標株価は、PER(株価収益率)を21倍、2024年通期のEPSを26.65ドルとしたものだ。直近の決算を踏まえ、PERと予想利益の両方を引き上げている。このPER21倍という数字は、過去5年間の平均である17倍よりも高いが、地政学的緊張が高まる現在の環境では平均よりも高い倍率も正当化されうるとの考えによる。
(forbes.com原文)