直近の業績動向
ディズニーの事業セグメントの1つである「エンターテインメント」セグメントは、これまで同様、良し悪し混在の状況となりそうだ。リニアTV事業は、米国市場における広告収入の減少とアフィリエイト収入の減少により、このところ業績が低迷している。Q3におけるリニアTV事業からの収益は、前年同期比約7%減の27億ドル(約4130億円)だった。一方で、ストリーミング事業は好調だ。加入者数の伸びはやや緩やかで、主力のDisney+(ディズニープラス)の加入者数(同社がインドで展開するストリーミングサービスのDisney+ Hotstarを除く)は前四半期に約70万人増加しただけだが、ディズニープラスや傘下のストリーミングサービスであるHuluからの月額料金収入は増加している。
また、インプレッション数の増加に牽引され、ストリーミングサービスにおける広告関連収入も増加している。ディズニーは引き続きサービスの収益化に注力しており、米国ではディズニープラスの値上げを再度実施する予定だ。広告なしの基本プランと広告付きプランの両方で月額2ドルの値上げが予定されているが、これは今回の決算発表には影響しない。ディズニーは前四半期にストリーミング事業全体で黒字を達成しており、そのおかげでQ4では全社的な利益率が回復する可能性が高いだろう。一方で、今期もディズニープラスの加入者は小幅な伸びに留まると同社は予想している。
心配されているのは同社のテーマパーク事業だ。同事業はコロナ禍からの再開後、堅調な業績を上げているが、同社はコストの増加と、コロナ禍が落ち着きを見せたあとに急増した入場者数が正常化することを見込んでおり、短期的には見通しづらい状況となっている。