宇宙

2024.10.29 18:00

ハロウィーンの闇夜に冬の星座を迎え、オーロラに期待がかかる今週の夜空

イタリアの城砦ロッカ・カラッシオの傍らに昇る、地球照を伴った三日月(Lorenzo Di Cola/NurPhoto via Getty Images)

今週は金曜日(11月1日)が新月なため、後半になるほど月明かりのない闇夜で星空を満喫できる。双眼鏡で去りゆく「紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)」の姿を探したり、オーロラを観察したりするにはうってつけだ。太陽活動が「極大期」に入り、このところ活発化していることから、今後1週間ほどは強い磁気嵐が発生しやすい状況にある。週末の夕方には、細い三日月とさそり座の赤色超巨星アンタレスの共演が拝める。

10月最終週の星空と天文学について知っておきたいことをまとめた。

米ワシントン州で2024年5月に撮影されたオーロラ(Shutterstock.com)

米ワシントン州で2024年5月に撮影されたオーロラ(Shutterstock.com)

太陽の黒点を見よう

もし手元に日食グラス(日食メガネ、遮光板)があれば、今週はいつでもそれを使って太陽を眺めてみてほしい。黒点がたくさん見えるはずだ。黒点の数は23年ぶりの多さとなっており、今週は太陽面の南東(左下)側に、AR(活動領域)3873、AR3872、AR3869といった黒点群が連なっている。ここ数日は太陽フレアが複数発生し、コロナガスが地球に向かって放出されている。

米航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星SDO(Solar Dynamics Observatory)が撮影した直近の太陽面の黒点(NASA/SDO/HMI)

米航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星SDO(Solar Dynamics Observatory)が撮影した直近の太陽面の黒点(NASA/SDO/HMI)

10月31日(木):ハロウィーン、実は天文学ゆかりの日

なぜ天体観測の記事にハロウィーンが登場するのか、不思議に思う人もいるだろう。実は10月31日は、9月の秋分と12月の冬至のちょうど中間点にあたる「クロスクォーターデー」である。ケルト暦に基づくクロスクォーターデーは年に4回あり、春の訪れを祝う2月2日のグラウンドホッグデー、夏の訪れを祝う5月1日のメーデー、収穫を祝う8月1日のラマスもこれに由来する祝祭だ。

11月1日(金):新月

天文ファンが1カ月のうちで最も待ち焦がれるのが新月の夜である。月が地球と太陽のほぼ中間に位置し、夜空から月明かりが消えるため、天体観測にもってこいなのだ。新月前後の1週間ほどは、観測条件がほぼ完璧となる。新月から2、3日経つと、夕空に三日月がかかるようになる。

11月3日(日):三日月とアンタレスが接近、北米で夏時間終了

北米では現地時間3日午前2時に夏時間が終了し、時計の針を午前1時まで巻き戻す。「spring forward, fall back(春に進め、秋に戻す)」と覚えておくと便利だ。

夕方に西の空を見ると、ほっそりとした三日月のすぐそばに、さそり座の赤色超巨星アンタレスがみつかる。太陽の12倍の質量を持つアンタレスはさそり座で最も明るい星で、観測史上最大級の恒星のひとつだ。上方に少し離れた場所には、肉眼でもはっきり見える「宵の明星」金星が輝いている。双眼鏡を持っているなら、地平線に近い低空に暗い水星を探してみよう。

今週の夜空:木星と冬の星座が共演

霧立つ湖の上に昇るオリオン座(Shutterstock.com)

霧立つ湖の上に昇るオリオン座(Shutterstock.com)

北半球のどこにいようとも、夜暗くなってから東の空を見上げれば、冬の星座たちと木星が仲良く昇ってくる様子が観察できる。ぎょしゃ座のカペラが木星の左上に、おうし座のアルデバランが右上に輝き、さらに上方にはきらめく散開星団「プレアデス星団(すばる)」も見えるだろう。さらに1時間待つと、オリオン座の三つ星やベテルギウスも昇ってきて仲間に加わる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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