インド人にもっとも愛される街づくりのために
現在、社員食堂運営会社最大手のエームサービスと2番手のグリーンハウスや、魚国総本社へのベジミールの導入が確定している。社員食堂業界は上位10社でシェア8割を占める中、この3社への導入は大きな意義がある。さらに静岡県としても、これをフックにインド企業の県内誘致の動きを活発化させている。「駐日インド大使館で静岡フェアが開催されたのですが、従来のようにご当地日本酒ではなく、むしろインド料理を押し出したことで、働く環境が充実していることを強烈にアピールできたと手応えを感じています。さらに浜松市とインドの関係を強固にする取り組みも始めています。浜松市はもともとブラジル人がものづくりを支えてきました。まだまだインド人は少ない。これからは浜松市としても、年内に、人材交流をはじめとする産業連携を目指し、アーメダバード市やインド工科大学を訪問する予定です。食環境の充実は、外国人の採用にも定着にも大いに有効であることは間違いありません。スズキでのベジミールの噂がクチコミで広がり、採用実績にも繋がることを期待しています」(伊達)
地域が一丸となって、この事業を進めていくことが重要と捉えている伊達は、インド料理に欠かせないバスマティライス(インディカ米)品種の栽培も、伊達に共感した農業法人と共に昨年より栽培を開始。自らも種まきを行い、今年初収穫に至った。バスマティライスは高価なため、現在はジャポニカ米と混ぜて使っているが、今後はバスマティライス品種の割合を増やすと共に、スーパーでも身近に購入できるようにしたいと伊達は考えている。
「新たに視野に入れているのがホテルへの導入です。インバウンドへの差別化の一助となると、大手ディベロッパーとの提携も進んでいます。昼食、夕食は日本らしい食事を楽しんでも、朝食はやはり故郷の味を、と思うのは誰しも同じです。朝食のビュッフェに本場のベジミールがあると稼働率と客単価も上がると考えています。
次なる施策はハラルフード。アルコールと豚を使えないため、ハラール肉を仕入れれば食材に関しては問題ないものの、厨房自体で豚を扱ったことがあると認められないという厳格なルールがあります。かなりハードルが高いのですが、誰もやろうとしていないニッチなところを我々がサポートする。“食で働くを支えていきたい”。まだまだできること、やるべきことはあると思っています」(伊達)。