ホームレス・ワールドカップは、その名の通り、選手がホームレスである。大会出場を契機に「自立」を目指しているため、選手としての参加資格は「一生に一度だけ」だ。2003年に始まり、COVID-19の影響による中断(2020-2022年)を除き、これまで毎年開催されてきた。
今年は9月21日〜28日に韓国の首都ソウル(会場は漢陽大学校)で開催された。アジアで開催されるのは初めてとなった。38の国と地域から、男女あわせて約450名が参加した。さらに、FIFAのストリーミングプラットフォーム「FIFA+」で全試合が無料で放送された。
世界のホームレスの定義で再挑戦
13年前、私はホームレス・ワールドカップ日本代表のコーチとしてフランス・パリ大会に参加し、全敗をした。今年のパリ・オリンピック2024で、ビーチバレーの競技会場となっていたエッフェル塔前が、まさに当時の試合会場だった。その後、私たち日本代表は、ホームレス・ワールドカップへの出場をあきらめた。意図的に出場することをやめたのだ。その理由の一つに、ホームレスの“定義の違い”による選手の年齢層の違いがあった。 当時の選手たちに、アルゼンチン代表の選手は?と問えば、メッシではなくマラドーナと全員が答える、平均年齢60代の選手たちだった。ほとんどサッカー経験はなく、パスが来るとトラップするのではなく、ドッチボールのようにボールから逃げて、息を切らしていた。
日本において、ホームレスとは「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」と定義されている。これは欧米各国に比べて非常に対象者が狭い。今回、私たちは、再派遣に向けて有識者の力を借りながら独自の日本代表参加資格(=定義)を策定した。それは、先述の「家・屋根がない人(=roofless、houseless)」に限らず、「屋根があっても不安定な居住にある人(=homeless)」を新たな参加資格とし、若者支援団体など日本全国の幅広い団体の協力を得ながら、8人の代表選手を韓国へと派遣した。
今大会の戦績は以下のとおり。
日本 4-11 インド、2-9 ポルトガル、3-8 チェコ、2-9 スウェーデン、3-9 アメリカ、
4-16 キルギス、5-12 ポーランド、2-7 イタリア、日本 8-4 ギリシャ、日本 5-8 ドイツ