そこで、参謀本部が頼りにしたのがウクライナ内務省だった。内務省は2023年、傘下の国家親衛隊など準軍事組織の一部を7個の「攻撃護衛」旅団に編成した。そのひとつ、第15作戦任務旅団、通称「カラダフ旅団」が8月下旬にポクロウシク方面に到着し、同市の南東十数kmに位置するセリドベ市方面でただちに戦闘を開始した。
それから2カ月後、2000人規模のカラダフ旅団と近傍のウクライナ側部隊は、より大規模で重装備のロシア軍部隊を押しとどめるのに苦労している。このロシア軍部隊はウクライナ東部を進軍する過程で戦争犯罪を犯すのもためらわない。今月6日にセリドベ市内に進撃した際にはカラダフ旅団員4人を捕虜にし、殺害した。翌日に逆襲したカラダフ旅団が4人の遺体を発見している(編集注:セリドベでは新たに民間人2人がロシア軍に殺害された疑いなども報告されている)。
自爆ドローン(無人機)で攻撃し、コザク装甲トラックで一区画ごとの市街戦を繰り広げながら、カラダフ旅団はロシア軍第2親衛諸兵科連合軍に所属する自動車化狙撃連隊の進撃を遅らせたものの、止めることまではできていない。ロシア軍部隊は26日、セリドベの南を突っ切り、廃線になった鉄路沿いにすばやく前進し、すぐ西のビシュネベ町の端に到達したと伝えられる。ロシア側はビシュネベを制圧すればセリドベを半包囲できる。
Ukrainian General Staff posting proof of the Russian advance to Vyshneve west of Selydove https://t.co/nkDZK7f3BN
— Ukraine Control Map (@UAControlMap) October 27, 2024
ロシア軍は連日1000人を超える人員を失いながらも、ウクライナ軍の深刻なマンパワー(人的戦力)不足に乗じ、東部の複数の軸で前進を続けている。ウクライナ軍が逆侵攻を続けるため予備兵力をクルスク州方面に投入し続けていることも、ポクロウシク方面のロシア軍を助けるかたちになっている。