双方にとって残酷で血なまぐさい戦いになっている。ロシア側が市中心部への侵入を図るなか、状況はますます凄惨になっている。今月6日、市内に進撃してきたロシア軍部隊はウクライナ国家親衛隊第15作戦任務旅団(通称「カラダフ旅団」)が保持していた陣地を制圧し、同旅団の国家親衛隊員4人を捕虜にした。ロシア軍は捕虜の尋問の様子を録画した。
翌日、カラダフ旅団は逆襲し、制圧されていた陣地を奪還した。そしてそこで、捕虜にされた仲間4人の遺体を発見した。ウクライナ検事総局は「戦争捕虜の殺害はジュネーブ条約の重大な違反であり、重大な国際犯罪に分類される」と指弾し、この件について捜査に着手したことを明らかにした。
ウクライナ当局によれば、2022年2月にロシアがウクライナに対する全面戦争を始めて以来、ロシア軍はウクライナ人捕虜100人以上を処刑している。およそ1000kmにおよぶ前線でロシア軍の1日の損耗人数が1000人以上に増えるなか、ロシア側による残虐行為の発生頻度も高まっている。今月10日ごろには、ウクライナ軍が侵攻しているロシア西部クルスク州で、ロシア軍の海軍歩兵部隊が捕虜にしたウクライナ軍のドローン(無人機)操縦士9人を殺害した。
ドローン操縦士たちの処刑はウクライナ側の無慈悲な報復を招き、処刑を行ったロシア海軍第155独立親衛海軍歩兵旅団は甚大な人的損害を被っている。ウクライナ側はセリドベでの新たな処刑に関しても同じくらい激しい怒りに駆られているに違いない。
とはいえ、カラダフ旅団を含め、兵員数に劣るウクライナ側守備隊が荒廃の進むセリドベで持ちこたえられるとも限らない。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は24日の作戦状況評価で「ロシア軍はセリドベで南北の陣地を制圧しながら前進している」ため、ウクライナ側は「包囲を回避するために近く一帯からの撤退を強いられるかもしれない」と分析している。