避難場所は“避難所”のみならず! まずはシミュレーションを
災害が発生した際、被害が大きくならないうちに安全な場所へ行くことが大切である。とはいえ、実際は身の危険を感じるまで動くのを躊躇ってしまう人が多いそうだ。
そこで小笠原さんは「避難」についてこう話す。
「避難所に行くことだけが避難ではありません。西日本豪雨で被災した実家は平屋建てで逃げ場がなかったけど、マンションや2階建て以上の頑丈な建物ならそのまま自宅にいるほうが安全なこともあるんです。ただし、周辺に土砂災害の可能性や川が近くにあり水害などの危険性がある場合は、自宅にとどまらず安全な場所への移動が必要です。
そして避難が必要なときにどこに行くのか決めておく必要があります。近くの安全な場所にある親戚や友人の家なのか、公共施設でも入ってもいいとこがあるのか、事前に確認しておきましょう」。
「実家のある島根県江津市では、西日本豪雨を機に神社やお寺なども避難場所に指定されました。災害時には、災害の危険がなくなるまでの必要な期間、身を寄せることができます。
お住まいの地域に新たに避難所も増えているかもしれないので、今一度、自分が被災することを前提に自治体の最新情報を確認してみてください」。
避難所を確認したあとで、もうひとつ欠かせないことがある。
「避難所に行くまでの道にも危険は潜んでいます。真夜中は足元が見えにくいし、道に水路があったら浸水で見えなかったりします。ネットで見るだけでなく、普段から実際に歩いてシミュレーションしておくことが大切です」。
SNSは“情報源”が確かなものしか信じない!
災害時は確かな情報を得ることが大切だ。しかし、確かな情報を見極めるのは容易ではない。
「スマホで簡単に情報を得られる時代だからこそ、正確な情報を入手してほしいです。NHKをはじめテレビやラジオ、住んでいる自治体からの確かな防災情報をチェックすることが大事。私が良く見るのは、気象庁が運営する『キキクル(危険度分布)』ですね」。
加えて、住む地域の環境特性を理解しておくことも避難の判断材料になるという。
「西日本豪雨の際、実家が浸水した大きな要因は、江の川(ごうのがわ)水系の氾濫です。上流には浜原ダムがあるのですが、この地域ではそのダムの放流量が浸水リスクの目安になっています。自分の住んでいる地域のリスクを知るためにも、自治体の情報が得られるアプリやネットサービスを使い慣れておきましょう」。
今や災害時の情報を得るツールとしても活用されるSNSだが、小笠原さんは注意して見るべきだという。
「SNSの情報は確証がないものは少し怖いですね。その情報がどこから来たのか、特に拡散されているものは鵜呑みにしないで発信元を必ずチェックしてほしいです。知人やそこに住んでいる人が発信しているとわかれば有益な情報になるし、住人はそれがどこだかわかるはずです。
高齢者はSNSを使いこなしている人も少ないと思いますので、確かな情報なら両親や祖父母に伝えてあげるといいですね」。
近年、自治体が発令する「警戒レベル3(高齢者等避難)」は、早い段階で出されることが多い。
「その時点で避難する人は正直少ないんですよね。最近は短時間に記録的な大雨が降り、一気に状況が悪化することもあり、『自分のところは大丈夫』という考えは通用しなくなってきています。だからこそ、避難を促す身内の声がけは重要だと思ってます」。
防災の日に限らず、気になったときに行動に移す、被災に遭ったとしたらどうするか、想像力をフルに働かせて動いてほしい。
(この記事はOCEANSより転載しています)