ビジネス

2024.11.16 15:15

「話し始めて30秒」でバレる、頭がいい人悪い人

Getty Images

SNS、チャット、メール……現代は、史上だれも経験したことのない「言葉の洪水」に襲われている。あなたも毎日、ペーパーワークに何時間奪われているだろうか? そこで、ビジネスパーソンに「簡潔化」の作法を指南する本が誕生、世界でベストセラーとなっている。全米25万部を超えた他、世界16カ国以上で刊行の話題作『Simple「簡潔さ」は最強の戦略である』より、内容の一部を特別公開します。


頭のいい人の話は「簡潔」である

2021年9月、ローマ教皇フランシスコはカトリック教会の司祭たちに、説教を40分から10分に短縮するよう指示した。さもないと聞き手が興味を失うからだ。

「誰よりも拍手喝采したのは修道女たちです。私たちの説教の犠牲者でしたからね」

と教皇は冗談を飛ばした。

あなたも教皇を見習うべきだ。どんなコミュニケーションも、まずは「相手の具体的なイメージ」と、「彼らが何を必要としているか」、もしくは「何を望んでいるか」を考えるところから始めよう。

頭のなかで、語りかける相手を思い描く。集団を相手にするときも、集団のなかの1人の具体的な人物や名前、顔、役割に焦点を定めること。

多くの相手とコミュニケーションを取るときは、必ずこれを行う。全員に語りかけようとすると、誰の心にも響かないものだ。語りかけたい具体的な相手をイメージすると、発言がかなり明確になる。

テレビのトークはいちばん下の層に合わせている

これに対してテレビは正反対で、いちばん知識が乏しい視聴者を基準とし、できるだけ幅広い聴衆を取り込もうとする。結果的に番組の質を下げ、単調な番組制作に終始している。

そんなことではいけない。そうではなく、対象とする大きな集合の中心にいる、聡明で、時間に追われ、好奇心旺盛な人物を思い浮かべること。現実の仕事や現実のニーズを持つ現実の人物だ。さらに、あなたの話題に興味があり、耳を傾けてくれそうな人物がいいだろう。

「すでによく知られていること」と「新しい情報」は、はっきり区別して示すこと。また、その情報がなぜ重要かをわかりやすく伝えるための語り口やデータが伴っていなければならない。

読み手の時間と知性に敬意が払われていると実感できるメッセージなら、相手の心に響くにちがいない。

頭の悪い人は「余計なこと」を言う

「読者を具体的にイメージすること」と同じくらい重要なスマート・シンプル(※著者が説く、シンプルでいて浅くならないコミュニケーション法)の次のステップは、メッセージをその読者にぴったりと合わせること。

スマート・シンプルを確実に達成するには、相手に何を心にとどめてほしいのかを明確に意識すべきだ。そのうえで、それを無駄なく、鮮明かつ印象的に表現する方法を見つけること。

自己診断してみよう。まずは友人の誰かに、自分がこれまでに書いた文章を読んでもらう。もしくは読み聞かせてもいい。そして、あなたが伝えようとしたもっとも重要なことは何か、わかったかどうかを聞いてみる。自信をくじかれるかもしれないが、とても有益な方法だ。

伝えたいことを理解してもらういちばんの近道は、「伝えたいことだけ」を伝えること。そこでやめる。そうすれば、相手はあなたが伝えたかったことを一字一句、すぐに繰り返してくれるだろう。

本を書くにあたっても、「そこでやめ!」という思いきりが必要だ。

ところが、誰もがこの点でつまずく。言葉を山ほど重ね、肝心なことを埋もれさせてしまう。あるいは伝えたいことをずばりと言わず、相手に推測させようとする

読者には、カッコつけるより親切であれ。

(本原稿は、『Simple「簡潔さ」は最強の戦略である』からの抜粋を編集したものである)

『Simple「簡潔さ」は最強の戦略である』ダイヤモンド社

Simple「簡潔さ」は最強の戦略である』(ジム・バンデハイ、マイク・アレン、ロイ・シュウォーツ著、須川綾子訳、ダイヤモンド社刊)

ForbesBrandVoice

人気記事