韓国の情報機関・国家情報院によれば、今回投入された兵士は特殊作戦軍の兵士だという。元々は、「暴風軍団」と呼ばれた第11軍団だったが、2017年までに陸海空軍の狙撃兵部隊を吸収統合し、特殊作戦軍になった。兵士の主な任務は超低空からの落下傘による敵地後方への浸透作戦だ。軽量化された小銃など、最小限の装備で活動し、市街地でのインフラ設備の破壊や要人の拉致・暗殺を試みる。
北朝鮮兵が投入される場所がクルスク州というのは理にかなっている。国情院は23日、韓国国会情報委員会での報告で、今回の派兵は、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記が6月に署名した「ロ朝包括的戦略パートナーシップ条約」の第4条が根拠になっているとした。同条は、ロシアと北朝鮮のどちらかが「武力侵攻を受け、戦争状態になる場合」、軍事手段などを支援するとしている。ウクライナ軍は8月から越境攻撃を行い、クルスク州の数百平方キロの土地を占領している。
おそらく、北朝鮮兵はウクライナ本国とクルスク州に駐屯するウクライナ軍を結ぶ兵站線を攻撃・破壊し、ウクライナ軍を孤立させる役割を担うのだろう。ロシアの主権が及ぶ地域だから、北朝鮮兵自身も補給を受けやすい。自衛隊元幹部や韓国軍事専門家らは「激戦地のウクライナ東部ドネツク州に北朝鮮兵は投入されないだろう」と口をそろえる。言葉の壁があるうえ、北朝鮮軍はロシア軍と合同軍事演習を行った経験がないため、部隊単位での共同作戦の遂行が難しいためだ。