フランスから合計で十数機が供与されるとみられるミラージュ2000-5は、ウクライナ空軍にとっては付加的なものになるだろう。また、ウクライナ空軍がミラージュ部隊を編成したあと、それによってどのくらいの数の遠距離打撃任務を行えるかは、機体数の供給数よりもミサイルの供給数で決まるかもしれない。
ウクライナがこれまでにSCALP-EGとその英国製版のストームシャドーをフランスと英国から何発取得したのかは不明で、フランスと英国が今後この巡航ミサイルをどのくらい調達できるのかもわからない。
2022年以前、英空軍のストームシャドーの在庫数はおそらく1000発未満だったとみられる。フランス空軍のSCALP-EGの在庫数も700発足らずだった。両国ともこれらのミサイルをすべて手放すとは考えにくいので、ウクライナの取得数は200〜300発程度かもしれない。
フランスの産業界は、使用できるミサイル数を増やそうと努力している。ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)によると、ミサイルメーカーのMBDAはウクライナ向けに、フランス空軍の期限切れのSCALP-EGを復元している。フランス政府はさらに、外国の買い手側から古いSCALP-EGを買い戻し、ウクライナ向けに再整備させている可能性もある。
SCALP-EG/ストームシャドーはSu-24とミラージュ2000-5にとって唯一の遠距離打撃兵器だ。より短射程の兵装としては、両戦闘機ともAASMに対応しているほか、Su-24はウクライナが新たに開発した滑空爆弾も搭載できる。このウクライナ製滑空爆弾は実のところフランス製滑空爆弾のコピーかもしれず、だとすればミラージュ2000-5にも搭載可能かもしれない。
これらの滑空爆弾の射程はせいぜい65kmかそこらしかなく、SCALP-EG/ストームシャドーの4分の1程度だ。したがって、Su-24やミラージュ2000-5は滑空爆弾で爆撃任務を遂行する場合、ロシア側の防空網にもっと近づく必要がある。
これは危険性が高く、損失がかさむおそれがある。そうなれば、ウクライナ空軍はたとえミラージュ2000-5が届き始めて機体数が若干増えても、たいした慰めにならないだろう。
(forbes.com 原文)