欧州

2024.10.25 09:30

ウクライナへ供与の仏製ミラージュ2000-5戦闘機、第1陣は3機 巡航ミサイルなど搭載

2018年4月、オランダなどの上空で実施されたNATOの多国籍空中演習で飛行するフランス空軍のミラージュ2000戦闘機(VanderWolf Images / Shutterstock.com)

一方で、ウクライナは1991年にソ連が崩壊した際におよそ200機にのぼるSu-24を引き継いでいて、その多くはまだ使用可能な状態にある。ウクライナ空軍の技術者らはたゆまず古い機体の修復に取り組み、何機も再生させた。その結果、ウクライナ空軍のSu-24の現有数は戦争拡大前よりも増えているもようだ。第7戦術航空旅団の旅団長イェウヘン・ブラツィク大佐はあるインタビューで、戦争拡大前よりも「はるかに多くの」機体があると語っている。
advertisement

フランスから合計で十数機が供与されるとみられるミラージュ2000-5は、ウクライナ空軍にとっては付加的なものになるだろう。また、ウクライナ空軍がミラージュ部隊を編成したあと、それによってどのくらいの数の遠距離打撃任務を行えるかは、機体数の供給数よりもミサイルの供給数で決まるかもしれない。

ウクライナがこれまでにSCALP-EGとその英国製版のストームシャドーをフランスと英国から何発取得したのかは不明で、フランスと英国が今後この巡航ミサイルをどのくらい調達できるのかもわからない。

2022年以前、英空軍のストームシャドーの在庫数はおそらく1000発未満だったとみられる。フランス空軍のSCALP-EGの在庫数も700発足らずだった。両国ともこれらのミサイルをすべて手放すとは考えにくいので、ウクライナの取得数は200〜300発程度かもしれない。
advertisement

フランスの産業界は、使用できるミサイル数を増やそうと努力している。ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)によると、ミサイルメーカーのMBDAはウクライナ向けに、フランス空軍の期限切れのSCALP-EGを復元している。フランス政府はさらに、外国の買い手側から古いSCALP-EGを買い戻し、ウクライナ向けに再整備させている可能性もある。

SCALP-EG/ストームシャドーはSu-24とミラージュ2000-5にとって唯一の遠距離打撃兵器だ。より短射程の兵装としては、両戦闘機ともAASMに対応しているほか、Su-24はウクライナが新たに開発した滑空爆弾も搭載できる。このウクライナ製滑空爆弾は実のところフランス製滑空爆弾のコピーかもしれず、だとすればミラージュ2000-5にも搭載可能かもしれない。

これらの滑空爆弾の射程はせいぜい65kmかそこらしかなく、SCALP-EG/ストームシャドーの4分の1程度だ。したがって、Su-24やミラージュ2000-5は滑空爆弾で爆撃任務を遂行する場合、ロシア側の防空網にもっと近づく必要がある。

これは危険性が高く、損失がかさむおそれがある。そうなれば、ウクライナ空軍はたとえミラージュ2000-5が届き始めて機体数が若干増えても、たいした慰めにならないだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事