キャンパス内にあるヴィトラ・デザイン・ミュージアムでは9月21日から、開業以来初となる企業1社のみを取り上げた展覧会、「Nike: Form Follows Motion」を開催している。
紹介されているのは、世界で最もよく知られるロゴの1つが付いたシューズ(いまやアイコニックなスタイルとなった「ワッフル トレーナー」「エア フォース1」「ショックス」など)のプロトタイプから、アパレル・ウェアやスケッチ、歴史的な写真、受賞歴のある広告キャンペーン関連の展示品まで、合わせて350点以上。それらの多くが初の一般公開となっている。
350点以上と聞けば、かなりの数のように思えるだろう。だが、ナイキのアーカイブス部門(DNA:Department of Nike Archives)にあるアイテムの数は、20万を超えている。
ナイキ チーフデザイン オフィサーのマーティン・ロッティは、「私たちはこれまで、内部を見る機会を第三者に提供したことがありませんでした」と語る。ではなぜ今、一部でも公開することにしたのだろうか──?
ヴィトラ・デザイン・ミュージアムのマテオ・クリース館長によると、同博物館は「長い間、デザインとスポーツを取り上げる展示会を開催したいと考えていた」とのこと。パリでのオリンピック開催が決まり、スポーツに対する人々の関心が高まっていたことも、開催の実現に影響を及ぼしたという。
また、ナイキは2年前にはグローバル・スポンサーとして、ヴィトラ・デザイン・ミュージアムの展示会『Plastic: Remaking Our World』の開催に協力している。
ちなみに、ドイツのヴァイル・アム・ラインにあるヴィトラ・キャンパスは、フランク・ゲーリーや安藤忠雄、ザハ・ハディッド、ヘルツォーク&ド・ムーロン、SANAAといった世界的に有名な建築家たちが設計を手掛けた建物が並ぶ、建築ファンの多くがいつか訪れてみたいと思う場所だ。
創業から50年を振り返る
1年ほど前から準備が開始されたこの展覧会は、スタートアップから世界的企業に成長してきたナイキの過去50年間を振り返るものとなっている。キュレーターは、ニューヨークのミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザイン、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館などで要職を務め、現在はヴィトラ・デザイン・ミュージアムの総合キュレーターであるグレン・アダムソン。英国を拠点とする建築家でアーティスト、映像作家でもあるジェイデン・アリがデザインを担当した展示スペースは、年代別に4つのセクションに分けられている。