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2024.10.31 17:00

お客さまには豊かさを、社員にはインスパイアを。東京建物「Brillia」ブランドがアート活動を通して目指すもの

近年、アート×ビジネスの可能性に注目が集まっている。総合不動産デベロッパー・東京建物では、マンションブランド「Brillia」において、早くからアートに着目してきた。

レジデンスアートの設置やギャラリーの開設、ヘラルボニーとの協業など、幅広い多彩なアートの取り組みとビジネスへの還元について話を聞いた。


「アートの取り組みは、当社にとって大きな財産とも呼べるものです。時代の流れやCSR(企業の社会的責任)の観点ではなく、当社のマンションブランド『Brillia』の価値向上・広告戦略の一環として行っています」

そう話すのは、東京建物住宅事業企画部CRM室課長の中山佳彦だ。その背景について次のように説明する。

「Brilliaは『洗練と安心』をブランド理念として、2003年に誕生しました。『洗練』の言葉には、長く使い続けても色褪せないという意味があり、それを紐解いていく中で、アートの持つ“空間を洗練させる力”に着目するようになり、次第にマンション共用部にデザインとしてアートを飾るレジデンスアートが増えていき、結果として、それはブランドの差別化にもつながっています。そのような背景から、今ではブランディング施策としてさまざまなアート活動を展開するようになっていきました」

しかし同社の場合、その取り組みはいわゆるブランディング施策の枠に留まるものではない。アートの重要性や素晴らしさをより多くの人に伝えたいという姿勢が強く表れている。

具体的には、アーティスト・作品との出会いの場として、2018年にアート作品公募展「Brillia Art Award」を創設。その3年後にはアートを発信する場として、東京・京橋に自社ギャラリー「BAG -Brillia Art Gallery-」をオープンした。

これまでにヘラルボニーとの複数の協業プロジェクトを実現し、発信するアートの幅は拡大。活動の社会的意義もより一層高まっている。

 ヘラルボニーとの協業で高まるアート活動の意義

ヘラルボニーはおもに知的障害のある作家とライセンス契約を結び、その作品を「異彩アート」としてさまざまなプロダクトやサービスに展開する企業である。近年は、インパクトスタートアップとして国内外から大きな注目を集めているが、両社の出会いは21年に遡る。

「当社が運営するオープンイノベーション拠点・シティラボ東京に、ヘラルボニーさんが参画され、『何か一緒にできないだろうか』という話になりました。インテリア商品のコラボレーション企画など、さまざまな形での協業の話が進み、21年4月には千葉県の複合施設開発の建設現場の仮囲いに異彩アートを展示する企画が実現しました」(中山)
千葉県で実施した、ヘラルボニーの作品を建設現場の仮囲いにプリント展示する企画

千葉県で実施した、ヘラルボニーの作品を建設現場の仮囲いにプリント展示する企画

「BAG -Brillia Art Gallery-」のこけら落としでも、ヘラルボニーの展覧会を開催し、その翌年も引き続き展示を行なうなど、関係性を深めてきた。

「『障害のある作家やその作品の素晴らしさをきちんと評価する社会をつくりたい』というヘラルボニーさんの想いに深く共感しました。事業がとても革新的ですし、そんな多様性ある社会を一緒につくっていきたいと考えています」と、中山。

共に協業プロジェクトを担当するCRM室主任・大髙菜未も大きく頷き、こう続けた。

「ヘラルボニーさんは、当社にとって大切なパートナー企業。特にそれを強く感じさせるのが、異彩アートでピアノをラッピングした『Brillia Art Piano』(本記事のメイン画像)です。2022年からストリートピアノとして成田空港、百貨店、ハレザ池袋、ハイヤットハウス金沢等全国各地で披露したり、当社やヘラルボニーさん主催でピアノを使ったイベントでも度々登場しています。何より、ピアノは眺めるだけでなく、実際に触ることができるなど、アートをより身近に感じてもらえるきっかけになる。それはまさに当社が目指す、アート活動のカタチです」

CRM室主任・大髙菜未CRM室主任・大髙菜未

こうした取り組みの積み重ねで結ばれた両社の絆は堅い。今年、ヘラルボニーは国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」を初開催したが、協賛企業の筆頭には東京建物の名が挙がっている。

「アートプライズ開催にあたり、最初にお声がけいただけたことを光栄に思っています。当社は企業賞として、内山.Kさんの作品を選ばせていただきました。今後はこの作品とコラボレーションすることで内山さんのアーティスト活動に関われることがとてもうれしく、同時に大きな価値を感じています。総合デベロッパーの当社ならではのアイデアを企画し、この作品の魅力を最大限に生かしたい」と、大髙は話す。

居住者の豊かさに寄与するレジデンスアート

「洗練」を目指すBrilliaの特徴のひとつが「レジデンスアート」だ。

「アートには正解がなく、その日の気分で見え方も変わってくる。その意味でもレジデンスアートには、居住者の暮らしをより豊かにするきっかけや可能性が秘められています。その土地や地域の歴史を丁寧に紐解いてレジデンスアートに昇華させることもありますし、物件デザインやコンセプトと照らし合わせながら、アーティストやキュレーターらさまざまな専門家と意見を交わしながらアートを選ぶこともあります」

そんなBrilliaのレジデンスアートを、従来とは異なる新しいプロセスかつ最大規模で展開する物件が誕生した。2024年5月に竣工した「Brillia Tower 堂島」だ。

キュレーター兼美術評論家の南條史生が監修した約50点ものアート作品がタワー共用部に点在するほか、敷地の南東角・北東角には街の新しいシンボルとなるようなパブリックアートも設置されている。興味深いのは、高さ約195m、地上49階建ての外観自体もアートとして捉えていることだ。
ヨットの帆をイメージしたという「Brillia Tower 堂島」の外観

ヨットの帆をイメージしたという「Brillia Tower 堂島」の外観

「水都大阪にふさわしい、ヨットの帆を彷彿とさせる外観はまさにアート。芸術・文化の中心として整備が進む堂島・中之島エリアのランドマークともいえます」(中山)

レジデンスアートは、居住者にとっては住まいや街との接点にもなり、エリアの魅力向上にもつながる――東京建物が目指す、そのレジデンスアートの理想像は、Brillia Tower 堂島によって現実に近づいている。
「Brillia Tower 堂島」内のギャラリーコリドー

「Brillia Tower 堂島」内のギャラリーコリドー

常に問い、考え続けるビジネスへの還元

今後、アートをどのようにビジネスに還元していくのか。同社ではその実現に向けた土壌づくりを本格的に始めたところだ。

「Brillia Tower 堂島をはじめとする従来Brillia シリーズのレジデンスアートは、担当者の裁量によるところが大きかったというのが実情です。近年、ヘラルボニーさんとのコラボレーションやBrilliaのレジデンスアートの積み重ねによって、社自体がアートの可能性に気づき始めた。これまで属人性の高かったアートのビジネス実装を標準化するために、インナーブランディング施策にも取り組み始めています」(中山)

住宅事業企画部CRM室課長・中山佳彦住宅事業企画部CRM室課長・中山佳彦

今後は、著名アーティストやアートの専門家を招聘し、社員向けの講演会を行うことで知識や観点などのインプットを始めるという。

特にこの一年、東京建物のラウンジ横に飾られた展示物など、アートについての会話が社員間で自然と生まれるようになったという。アートに親しみたい、触れたいという社員が集まるアート部もスタート。社員アンケートなどでは、アート作品に対して否定的な感想も集まる場合もあるが、中山は「決して悪いことではない」と断言する。

「意識がアートに向き、人と会話するきっかけが生まれ、解釈が深まることが大事だと考えています。そこから創造的な視点が養われ、イノベーティブな発想や、ビジネスの好循環につながることを期待したい。アートを通じて何ができるか。それを会社全体で常に問い、考え続けていきます」(中山)

東京建物

なかやまよしひこ◎2021年11月から住宅事業企画部CRM室に着任。現在はBrilliaのブランディングを中心としてCM制作などのブランド広告全般、アート活動、住宅事業本部内のインナーブランディング等に携わる。

おおたかなみ◎
東京建物に入社後からBrilliaをメインとした分譲マンションの販売業務に従事し、2023年1月から住宅事業企画部CRM室に着任。現在はBrilliaのブランディングを中心としてCM制作などのブランド広告やSNS発信、アート活動、住宅事業本部内のインナーブランディング等に携わる。

Promoted by 東京建物 / text by Rie Suzuki / photographs by Yuta Fukitsuka / edited by Kaori Saeki