北米

2024.10.24 10:30

トランプは「ファシストの定義に合致」と元米高官 「ヒトラーは良いこともした」発言も

首席補佐官を務めたジョン・ケリーとドナルド・トランプ前米大統領(Andrew Harrer-Pool/Getty Images)

首席補佐官を務めたジョン・ケリーとドナルド・トランプ前米大統領(Andrew Harrer-Pool/Getty Images)

ドナルド・トランプ前米大統領の首席補佐官を務めたジョン・ケリーは米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで、トランプが在任中、ナチ・ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーを一度ならず称賛していたと明かした。米国を運営するにはファシスト的な手法のほうが適しているというのがトランプの考え方だとの見解も示した。

22日に公開されたインタビューで、トランプはファシストなのかと問われたケリーは、ウィキペディアのファシズムの定義を読み上げたうえで「トランプは確かにファシストの一般的な定義に当てはまる」と語った。

ケリーは自身の経験から、ファシズム的な手法はトランプが「米国を運営する上でよりうまくいくと考えている」ものだとも話した。トランプについて「間違いなく権威主義者であり、独裁者に憧れている」とも断言した。

独裁者の称賛という点に関しては、トランプが「ヒトラーは良いこともした」とケリーに語ったことが「一度ならず」あったと証言した。

ケリーは、トランプは合衆国憲法をほとんど理解しておらず、自身の権限の制約にいらだっていたとも振り返り、「独裁的な統治手法を好んでいるのは疑いない」と述べた。トランプは政権に起用した制服組や退役将官が忠誠を尽くすのが自身でなく憲法であることに驚いていたとも明かした。

ケリーは退役海兵隊大将で、トランプ政権では首席補佐官に先立って国土安全保障長官も務めた。インタビューでは、トランプが米軍の戦傷者や戦死者らのことを「負け犬」や「バカ」と呼んでいたことにもあらためて言及し、トランプは「この国を守るために手足を失った人たちと一緒にいるのを見られたくない」とも話した。

トランプ陣営「でっちあげ」

ケリーはニューヨーク・タイムズのインタビューに答えることにしたのは、トランプが最近、国内の「敵」に対して米軍を用いるべきだと発言したことを憂慮したためだと説明した。米軍に米市民を攻撃させることはもちろん、大統領選で当選するために政治目的でこうした発言をすること自体「たいへんに悪いこと」だと批判した。

トランプは「内なる敵」として、これまでに「急進左派」のほか、トランプの弾劾裁判で検察官役を務めた民主党のアダム・シフ下院議員、ナンシー・ペロシ元下院議長らを名指ししている。

トランプ陣営の広報責任者であるスティーブン・チョンはメディアに寄せた声明で、ケリーは「でっちあげたデタラメな話で自分自身を笑い者にしている。首席補佐官として働いている間、大統領にうまく仕えることができず、現在は『トランプ錯乱症候群』を病んでいるからだ」と主張した。

一方、米誌アトランティックは22日、トランプがホワイトハウスでの私的な会話で「ヒトラーが抱えていたような将軍たちが必要だ」「彼(ヒトラー)に完全に忠実で、命令に従う者たちだ」と語っていたと報じた。トランプ政権で勤務した退役将官らの話として「彼(トランプ)が重んじる唯一の軍人の美徳は服従だ」とも伝えている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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