フィリピンの建設業界の富豪、840億円で「風力発電プロジェクト」を始動

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フィリピンの再生可能エネルギー企業シティコア・リニューアブル・エナジー(CREC)は10月21日、同社初の陸上風力発電所の建設・運営に向けて東南アジアの同業レバンタ・リニューアブルズと提携すると発表した。

CRECを率いる建設業界の富豪エドガー・サアベドラによると、両社の合弁会社は、合計375メガワットの発電能力を持つ4つのプロジェクトを建設・運営する計画。投資総額は5億5000万ドル(約840億円)に達し、完成まで4~5年を見込んでいる。

レバンタは英投資会社アクティス傘下の再生エネルギー企業で、シンガポールに本社を置いている。同社は、CRECの完全子会社でプロジェクト運営元であるシティコア・ウィンド・エナジーとの提携で合弁会社を立ち上げる。2004年創設のアクティスは、これまで累計250億ドル(約3兆8200億円)を調達し、再エネやデジタルプラットフォーム、サプライチェーンインフラなどへの投資を行っている。

「このプロジェクトの立ち上げにあたり、レバンタほどふさわしいパートナーはいない。このパートナーシップと陸上風力発電業界に、長年にわたる豊富な知見をもたらしてくれる」と、CRECプレジデントのオリバー・タンは声明で述べた。

サアベドラは、フィリピン政府が国内の電力生産に占める再エネ割合を現在の約21%から2040年までに50%に引き上げようとする中、この分野への投資を進めるフィリピンの富豪の一人だ。

CRECは今年1月のフィリピン証券取引所への上場と、28%の株式の売却を通じて約103億ペソ(約270億円)を調達し、風力発電プロジェクトとは別に、5年以内に5ギガワットの発電能力を実現する3億ドル規模の太陽光発電プロジェクトのための初期資金を確保した。同社は、中長期的には3ギガワットの風力発電施設の構築を目指している。

一方、レバンタは、フィリピンやベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアで風力・太陽光発電プロジェクトを展開しており、2028年までに東南アジアで1.5ギガワットの稼働キャパシティを目指している。「当社はCRECとのパートナーシップを活かして、フィリピンでより大規模な再生可能エネルギープロジェクトを追求していく」と、レバンタCEOのスディール・ヌネスは声明で述べた。

再生可能エネルギー分野への進出は、サアベドラを4年ぶりにフィリピンの富豪ランキングに返り咲かせる原動力となった。建設業界がコロナ禍で打撃を受けた結果、サアベドラは2020年にランキングから外れていたが、昨年8月には保有資産2億7000万ドル(現在のレートで約412億円)でフォーブスの「フィリピンの富豪50人」に復活を果たした。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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