パニック症は不安障害のひとつ。うつ病などの精神疾患がもとになったり、反対に精神疾患につながったりもする。発作が起きるかもしれないという恐れが不安を増長するという悪循環を招きやすく、非常に厄介だ。強いストレスなどにより脳内の神経伝達物質のバランスが乱れることで脳が異常に興奮する病気であり、決して精神的に軟弱なわけでも、「根性」を鍛えて治せるものでもない。
障害や福祉サービスに関する情報サイト「マナポッケ」がパニック障害経験者117人を対象にアンケート調査を行ったところ、該当者の約6割が20代から30代、女性が約6割だった。この割合は厚生労働科学研究の報告と一致する。発作を起こしやすい場所や状況は、約3割が乗り物の中と答えている。密室で人が多く逃げ場がないという、患者にとっては非常に過酷な環境だ。また、上司に怒られるなどストレスを感じているとき、過去を思い出したとき(フラッシュバック)などとなっている。
症状でもっとも辛いのは、息苦しさ。続いて、動機、「死ぬのではないかという恐怖」、吐き気、めまいなど。またそうしたパニック症状が落ち着くまでの期間は人さまざまで、短い人でも1カ月から3カ月、4割以上の人は「現在も落ち着いていない」状態だ。
大切なのは、本人が心療内科などを受診して治療に励むことだが、周囲の理解も欠かせない。そこで参考になるのが、パニックを起こしたときに、周囲の人たちに何をしてほしいかという本人たちの意見だ。
冷たい目で見ないでやさしく声をかけてほしい、大げさに騒がず見守ってほしい、さりげなく人の少ない場所に連れて行ってほしいなど、無闇に声をかけたり大勢で対処されると、返事をしなければとストレスになるので、そっとしてほしいということだ。過呼吸のときはパルスオキシメーターで状態を客観的に確認したい、水や薬が飲めるようにしてほしいとの要望、人から見られないよう背後に立って隠してくれたときはありがたかったとの体験談も聞かれた。「さりげなく助けてるよ感」がいちばんありがたいと話す人もいた。
マナポッケは、適切な対応は患者によって異なるとしながらも、人の少ない場所に誘導して落ち着くまで見守る、「大丈夫?」ではなく「どうしたの?」と症状を聞く、ヘルプマークに指示が書かれていたらそれに従うとの提案をしている。
プレスリリース